目指す理想は鷹サファテ 日本ハム石川直が交わした吉井コーチとの約束

日本ハム・石川直也【写真:石川加奈子】
日本ハム・石川直也【写真:石川加奈子】

2年続けて発した「“あいつが出てきたから終わりだな”と思わせるような抑えに」

 プロ野球開幕を心待ちにしながら日本ハムの取材ノートを整理していたら、思い出深い言葉を再発見した。「F取材ノート 心に残ったあの言葉」として改めて紹介したい。今回は、守護神候補の石川直也投手だ。

「“あいつが出てきたから終わりだな”と思わせるような抑えになりたいです」

 昨オフの契約更改後の会見での言葉だ。理想のクローザー像についての質問に対して、1年前と全く同じ答えが返ってきた。1年間クローザーを務め、40セーブを挙げてセーブ王、そしてチームの日本一……出てくる言葉は判で押したように2年連続で同じ。ブレることなく、6年目のシーズンを迎える。

 念頭にある理想像は、全盛期のサファテ(ソフトバンク)だ。「真っすぐは狙っていても打たれないというか、そういうのはすごく目標になる。圧倒的な力があるのは目指す理想かなと思います」と、2015年から3年連続で最多セーブに輝いた右腕の背中を追う。

 さらに「去年までいた吉井さんともそういう話はしていましたし」と続けた石川直。サファテのようなクローザーになることは、昨年まで指導を受けた吉井理人投手コーチ(現ロッテ)との約束でもある。

 本格的に1軍で投げ始めた2017年に、当時の吉井投手コーチから「目指そうサファテ」と繰り返し声を掛けられた。193センチ、102キロのサファテに対して、当時の石川直は191センチ、91キロ。2018年3月の取材ノートを見ると「サファテに比べると、まだ体は薄っぺらいけど、体も技術も去年より成長している」と話す吉井投手コーチの言葉が残っている。あれから2年、今季の石川直の体格は192センチ、95キロと一層たくましくなった。

 昨季は自己最多の60試合に登板して21ホールド、5セーブ、防御率3.31の成績を残した。抑えとしてスタートしながら、4月5日に登録抹消されたが、5月1日に復帰するとセットアッパーとして貢献。契約更改後の会見では「いろんな場面で投げさせてもらったので、すごく勉強、経験になりました」と振り返り「どんな場面でもすごい落ち着いて投げているなと感じたので、その辺はすごく参考になりました」と、抑えを務めた秋吉亮投手の姿から学ぶこともあった。

 今春のキャンプ終盤に右肘違和感を訴えた石川直にとって、開幕延期は肘の不安を払拭する絶好の機会になった。今年3月に結婚して今季に懸ける思いも強い。秋吉とのし烈なクローザー争いに期待がかかる。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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