【#今こそひとつに】医師を志す元DeNA右腕が感じた人の温かみ「友人が心強かった」
父は新型コロナの闘い最前線、昨季限りで現役引退した元DeNA寺田光輝さんは医師を目指して猛勉強中
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で“自粛生活”が続いていた日本では、緊急事態宣言が解除された。とはいえ、まだまだリスクがある状況が続く中、医療従事者をはじめ、社会のインフラを支える人々は、見えない敵が迫る最前線に立ち、私たちの日々の暮らしを支えてくれている。こんな状況だからこそ、誰もが身近にいる「命を支える人」「生活を支える人」「社会を支える人」に対し、感謝の気持ちを抱いた瞬間があるのではないだろうか。
「Full-Count」では、野球を好きな人が、感謝の気持ちを発信する特別連載【#今こそひとつに】を掲載中。リアルな感謝の声をメッセージ動画とともにお届けする。
今回は、元DeNA投手の寺田光輝さん。昨年10月に現役引退を決断し、大学医学部の編入試験受験を目指して猛勉強中という異色の男は友人、仲間たちへの感謝の思いを口にした。
◇ ◇ ◇
街から人が消え、テレビを付ければ新型コロナウイルス関係の暗いニュースばかり。緊急事態宣言発令中は気が滅入るような毎日だった。それでも、医師を志す寺田さんにとっては人の温かみを感じる時にもなった。
父・晃さんは三重・伊勢市にある「寺田クリニック」の開業医。「いつ行ってもいっぱい」という病院は、緊急事態宣言中も新型コロナとの闘いの最前線で奮闘していた。「父も感染するんじゃないか」という不安の日々。「マスクに困ったら、いつでも言ってこいよ」、「モンスターペイシェント(モラルに欠けた振る舞いをする患者)がいたら言ってくれ」。地元の友人たちから父をも気遣うメッセージがLINEに次々と入った。
「めちゃくちゃ嬉しかったですね。家族が医療従事者だったので、周囲や友人からも敬遠されると思っていたので……。実際に(友人たちに)お世話になることはなかったですけど、自分や家族に寄り添ってくれたのが嬉しかったです。4月下旬には、知り合いの方からは、私宛てに50個入りのマスクを送ってきてくれました。そんな方々の存在が、本当に心強かったです」
ふとした瞬間に感じた人の優しさ。それは未知のウイルスと闘う父も同じだった。誰が新型コロナ感染者かも分からない。マスクを二重にして完全防備での診療。まさに神経を尖らせる激務の中、患者さんからマスクの差し入れや励ましの声を多くかけられたという。
「病院は私が生活する家からも近いんですが、(緊急事態宣言中は)さすがに近寄らないようにしていました。後で聞いた話なんですが、父は患者さんが励みとなったようです。病院の中も緊張感があったそうですが、看護婦さんたちはオロオロすることなく本当に心強かったと言っていました」