巨人“育成の星”沼田翔平の原点とは? 中学恩師が語る心優しき涙のエピソード

「友達や仲間思いで情に熱い男。周りの人に好かれるから伸びるのかな」

 投球フォームは中学時代と比べても、それほど大きく変わっていないという。「その人に合った投げ方はその人にしか分からない。だから『こう投げなさい』とは言わず、『こういう感覚の人がいるよ』という話をいくつかしました。その中で本人が選別して、自分の形をつくったんだと思います。フォームどうこうよりも考え方についてより多くの話をしました」と言う。

 中学時代から周囲を思いやる心優しい少年だった。2年生の時に野球部の仲間が転校する際のお別れ会では1人でずっと泣いていたという。3年の最後の大会で敗れた直後のミーティングでも「ごめんなさい。高田先生を優勝させられなくて」と泣きじゃくった。「友達や仲間思いで情に熱い男。周りの人に好かれるから、プロに入っても伸びているのかなと思います」と高田さんは語る。

 高校、そしてプロに進んだ今でも中学時代の恩師にも相談や報告を欠かさない律儀な好青年。それだけに高田さん自身は沼田の育成でのプロ入りについて親心から心配していた。「正直、怖いなと思っていました。チャレンジは素晴らしいことですが、もしすぐに切られてしまったら、その後……」。ただ、そんな心配は杞憂に終わった。

 今春のオープン戦での好投を見て、早期の支配下登録を期待していた。「よく頑張ったと思います。でも、ここからがスタート。自分のピッチングを確立して、巨人と言えば沼田翔平と言われるようになってほしい。交流戦で札幌ドームに来てくれたら必ず見に行きます」とエールを送っていた。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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