巨人支配下の沼田は「めんこい顔してるけど…」 高校恩師が語る“育成の星”の素顔

旭川大高・端場雅治監督【写真:石川加奈子】
旭川大高・端場雅治監督【写真:石川加奈子】

2018年夏の甲子園1回戦、佐久長聖戦(長野)でタイブレークの末、敗れた

 甲子園では佐久長聖戦に先発して8回9安打4失点(自責0)。チームは甲子園初のタイブレークの末に敗れた。その翌日、沼田はプロ志望届を出す意向を表明した。「甲子園に行って、本気でプロに行きたいと思ったのではないでしょうか。腹を決めた感じがありました」と端場監督は話す。

 140キロ超を誇る4人の投手陣の中でも、端場監督が最も信頼を置いていたのは沼田だった。「ピッチャーとしての意識が一番高い。何かを言うタイプではないですが、黙々と自分の考えていることをやり通す」とその姿勢を高く評価していた。印象に残っているのは沼田が常々口にしていた「いいボールを投げるピッチャーよりも、バッターを抑えるピッチャーが一番いいピッチャー」という言葉だ。

 その言葉を忠実に実践し、最速146キロだった高校時代は球速よりも打者を抑えることに注力していた。甲子園での最速は142キロ止まり。「もっと速い球を放りたいと思ったら、放れたと思います。プロにアピールしたいと色気が出てもおかしくない。そこを抑えたところが大人」と端場監督は感心する。甲子園から帰って来た後、端場監督が本人に尋ねたところ「点差がついていたら、(球速はもっと)いけました」とサラリと答えたという。

 支配下登録された日は、端場監督のもとに本人から直接電話があった。「いつもはLINEですが、電話で『今日は報告があります』なんて言うので、よほどうれしかったのでしょう。どんな環境でもやるべきことをできる子ですが、育成から支配下に上がるというはっきりした目標があったことは結果的に良かったのかもしれません」とうれしそうに語る。

 育成選手としてプロに送り出す時には、想像しなかったスピードで支配下登録を勝ち取った。「3年経ってどんな感じかなと思っていました。今年のキャンプで1軍に呼ばれた時も、1軍の雰囲気を勉強する良い機会ぐらいに捉えていました。めんこい(かわいい)顔してるけど、きかん気が強いので、中継ぎに向いているかもしれないですね。先発で投げるところも見てみたいですが、まだまだ欲を言える立場ではないので、今年1年で経験値を上げて、また目標を見つけてやってくれたら。今は教え子というよりファンの気持ちです」と教え子の活躍を願った。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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