坂本勇人が「夢を生き返らせてくれた」 “名もなき歌手”が語る坂本登場曲の秘話
音楽ソロユニット・maabooさんが巨人坂本の登場曲「カンジルママニ」の制作秘話、坂本の人物像を語った
新型コロナウイルスの影響で延期となっていたプロ野球は19日、いよいよ開幕戦を迎える。6月上旬に新型コロナウイルス検査で微陽性と診断されて一時戦列を離れていた巨人・坂本勇人内野手は、阪神戦(東京ドーム)でプロ14年目のスタートを切る。今季中の通算2000本安打到達、リーグ連覇に注目が集まるキャプテンへ熱視線を送るのが、坂本の第2打席の登場曲「カンジルママニ」を歌うシンガーソングライター・maaboo(マーボー)さん。音楽アーティストとしては無名のマーボーさんが、なぜ坂本の登場曲を歌うのか。歌詞に込められた思い、さらには登場曲から浮かび上がる坂本の人物像に迫った。
奇跡のような“出会い”だった。17年12月、共通の知人の知り合いとの食事会。「もう挫折したけど、曲を作っていたんだ」。坂本に打ち明けたところで、まさかのオファーが入った。
「曲を作ってくれない? 登場曲で使いたいから」
長崎・佐世保市出身の32歳。「25歳で芽が出なかったら辞めよう」。1度は諦めた歌手の道だったが、自宅にあるエレクトーンを駆使して登場曲作りに没頭した。時には「集中できる」と意味もなく車を走らせながら歌詞を作ったという。
松井秀喜や清原和博、高橋由伸が描くアーチに魅せられた巨人ファン。小学生の頃に福岡ドーム(現PayPayドーム)で生観戦したのは覚えているが、自身に野球のプレー経験は全くなかった。
「とりあえず曲を作ってみたら、野球っぽさが全くなかったんです。1度聞かせたら、『野球のエッセンスをもう少し入れてくれ』と。僕が知っている坂本選手に、彼が普段思っていそうなことを想像して……。坂本選手からファンの方々へ向けたメッセージを代弁できたらなと思って書きました」
背番号6、空に描いた放物線……。歌詞の随所に野球ワードを盛り込んだ。それだけではない。「♪見栄を張りながらもホンモノになればいい」、「♪本当に大事なことに意味なんかなくてもいいんだよ きっと その瞬間を大切にしていれば 笑顔になれるから」。実際に坂本が話していたことを素に、“Bメロ”の歌詞とした。いずれも高卒2年目の19歳にして巨人の正遊撃手となった坂本らしいエピソードが潜んでいる。
「坂本選手と親しい方に彼の話を聞いたり、坂本選手が実際に話していて印象に残った言葉を携帯にメモしていたんです。(Bメロの)歌詞は実際に彼が話していたことを素にしました。『見栄を張りながらも~』というのは、坂本選手が『人生では背伸びをする時もあるんだ』と(言っていた)。一流の振る舞いをすれば、後から人物、結果がついてくるということだと思います」
「『本当に大事なことに~』は『笑顔は自ずと周りに波及する。だから、深い意味なんか考えなくて良くて、その場その場を一生懸命楽しめばいい』と。坂本選手がいつも笑顔なのは、そういう理由もあるようです」