DeNA、コロナ禍を機に広まる新たなカタチ ファン参加型オンライン応援の可能性

海外からの参加者も… ファンが球場に戻った後も活用できるリモート応援

 球場では、事前にファンから募集した約5000枚の応援パネルが内野席に掲出されたり、右翼席に広げられた「I☆YOKOHAMA」の文字をファンから寄せられた約1万1000枚の写真からなるモザイクアートで制作したり、約1000件の声援動画をオンエアしたり。ファンと球場の距離を縮め、繋げる様々な工夫がなされていた。

 初めての試みとあって、序盤に音声が繋がりづらいトラブルがあったり、途中でミュートが解除されていることに気が付かないファンの会話が混じったり、今後に向けての改善ポイントはあった。だが、海外に滞在中のファンが参加できたり、小さな子どもがいるファンはストレスフリーで楽しめたり、これからの未来に向けて“新しい応援のカタチ”として持つポテンシャルの高さは際立っていた。

 OB解説者として参加した鈴木氏は「いつもと違う方法で試合を味わえて楽しかったです。また違う企画があれば、ぜひ参加したいです」と、オンライン上ではあるがファンと交流しながらの解説を楽しんだ様子。荒波氏も「僕自身がとても楽しかったので、ファンの皆さまもきっと楽しんでいただけたのではないかと思います」と手応えを語っている。

 球場でオンラインによるファンの声援を受け取ったラミレス監督は「球団もファンのために、少しでも我々とみんなが一つになれるようにサポートしてくれている」と評価。同時に「これまで球場の応援が相手チームにとって脅威となっていたが、今年は残念ながらそれがない。一日も早くファンが球場に戻ってくることを心待ちにしている」と球場が再びファンの熱気で包まれる日を楽しみにした。

 打球音やアンパイアのコール、ベンチからの掛け声など試合の“生音”が響くファンのいない球場で、メインビジョンにオンラインで盛り上がるファンの姿が映し出される光景は、慣れるまで多少の時間を要するかもしれない。だが、球場に観客が戻ってきた後も、地方や海外などに住むため応援に駆けつけられないファンが参加できる応援のカタチとして、選べるオプションが加わったと言えそうだ。このコロナ禍を機に、参加者が双方向で楽しめるオンライン応援やリモート応援が珍しくはない時代がやってくるのかもしれない。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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