「同情はしたい。でも…」専大松戸・持丸監督が100日ぶりの練習で激怒したワケ
キャリア50年のベテラン監督が説く、最後の夏の“終え方”
竜ケ崎一、藤代、常総学院、専大松戸とこれまで率いた高校すべてで甲子園出場。キャリア50年のベテラン監督にとっても、今回の大会中止は初の出来事。気にかけるのは、選手が現役最後の試合を終えた“その後”だ。
「甲子園を目指して、本気で挑んで負けたならば悔いはあれども納得できる。そういう意識を持ってやらせたいが、今年はもうそれは現実的に不可能なこと。とはいえ、中途半端な気持ちで臨んでも何もならない。勝ち負けで区切りをつけるには、手を抜かずにやるしかないんです。それも、本人が心からやる気になって臨まないと」
甲子園にはつながらない代替大会。それでも、3年間の努力を知っているからこそ、ただの“思い出作り”にはできない。だからこそ、ときに部長やコーチにフォローを任せつつも、久々の再開でためらうことなく雷を落とした。
「この子らは確かにかわいそうですよ。50年指導者をやってきて、初めて選手に対して同情する気になりました。でも、かわいそうだったら怒らなくてもいいのか。同情してやりたいけど、それはやっちゃいけない。『お前らかわいそうだな、もう楽しくやればいいよ』なんて、それは見放すことと一緒ですから」
今年72歳。高校野球の“終え方”を誰よりも知る老将は、あえて心を鬼にして彼らへ惜別の声を涸らす。
(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)