ロシアの血を引くドラフト候補、桐生第一・蓼原 自粛期間は「無駄じゃなかった」
妹に夢を諦めさせた負い目…今ではお互いを高め合う良きライバルに
正月ぶりに帰った我が家では、プロを目指すきっかけとなった2人の妹とも再会した。
「小学校から元プロの教える野球教室に通わせてもらって、そのぶん、妹たちにはやりたかった新体操や習い事を我慢させた過去がある。経済的にも早くプロになって、家族に恩返ししたいという気持ちが強いんです」
新体操を諦めた妹も今はボクシングに打ち込んでおり、下の妹は空手に熱中。妹2人が格闘技に目覚めた理由は定かではないが「これからの時代は女も強くならないとって両親も歓迎しています。妹とはそれぞれの舞台で切磋琢磨して、いずれはお互いに有名になってやろうと話した。帰ったときは実際に腹にパンチも受けて、本当に強くなったなと…。あ、たぶん自分はもう勝てないなって思いました(笑い)」
ロシアの血を引くということで、巷では「スタルヒン2世」とも呼ばれるが「スタルヒンって言われても自分にはあまり馴染みがなくて…。憧れはダルビッシュ選手です」。野球を始めたばかりの小学2年生の夏、父・秀樹さんと二人で横浜スタジアムでの交流戦を観戦。1失点に抑えたダルビッシュに試合後声援を送ると、手を振って応えてくれたといい「投げてる球もすごいし、顔も振舞いもすべてがイケメン。自分もダルビッシュさんのような選手になるのが夢です」と憧れを寄せる。
「コロナで思うような練習ができなかったけど、実家に帰った時間でいろいろなことをやったり、考えたりできた。その時間も無駄じゃなかったとポジティブに捉えて、この3年間やってきたことを全力でぶつけたい」
コロナ禍での自粛期間も決して無駄ではない。その思いを胸に、最後の夏へ腕をぶす。
(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)