西武、“コロナ特例”で引き分けも辻監督&ニール痛感「たった1球の失投が…」
ニールは6回に勝ち越し3ラン被弾も打線の奮起で同点、不敗神話は継続となった
■西武 4-4 オリックス(3日・メットライフ)
2年連続パ・リーグ覇者の西武は3日のオリックス戦で今季初めて延長10回に突入したが、結局今季初の引き分けに終わった。3点ビハインドから追いつく展開だったが、辻発彦監督は「勝てたと言えば、勝てたと言える試合かもしれない」と悔やむことしきりだった。
“コロナ特例”で選手の負担を軽減するため、今季の延長戦は10回で打ちきり。辻監督は「戦い方がハッキリする。(ベンチ入り選手を)ここというところで全員使えるから、戦いやすい」と感想を述べたが、諦め切れないのは6回の“1球”だ。
先発のザック・ニール投手はこの日勝てば、昨季からの連勝が13となり、1987、88年に郭泰源氏が樹立した球団外国人最多連勝記録に並ぶところだった。しかし1点リードの6回2死一、二塁から4番のジョーンズに同点の左前打を浴び、さらに続くT-岡田に初球を右翼席中段まで運ばれ、勝ち越し3ランとなった。
「同点まではしょうがないが、あの3ランは痛かった。たぶんツーシームが甘く入ったんじゃないかと思うんだけど」と辻監督。ニール自身も「今日はたった1球の失投がすべてでした」と悔やんだ。2死二塁からオリックス随一の強打者・吉田正を四球で歩かせ、メジャー通算282本塁打のジョーンズに同点打を浴びたショックもあって、T-岡田に対する初球への意識がわずかに足りなかったのかもしれない。
このままいけば、ニールに昨年4月9日・楽天戦(県営大宮)以来、451日ぶりの黒星がつき、連勝記録がストップするはずだったが、その裏に“山賊打線”は中村のソロと源田の2点適時打で同点に追いついた。7回の守備からは平井にスイッチしたため、ニールには勝ち負けが付かず、13連勝の可能性は次回登板に持ち越されることになった。
辻監督は「ニールは負けない投手なので、(打線が)追いついてくれるんじゃないかと信じていました」と語った。手薄な先発投手陣にあって、ニールは唯一と言ってもいい計算できる投手。指揮官は「信じていた」と言いつつも、不敗神話の危機に祈るような思いだったのではないか。
同じ失敗を繰り返さないのもエースの条件。ニールは次回登板では辻監督を納得させる投球内容を示し、今度こそ郭泰源氏の記録に肩を並べることになるか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)