オリに負け越した西武の誤算 突如崩れる先発と救援陣の登板過多のジレンマ

今井、高橋光と相次いで100球直前で崩れていた西武先発陣

“勝ちパターン”の彼らでなく、森脇、田村を選択して敗れたのは“宝の持ち腐れ”にも見えるが、平良、ギャレット、平井が2日と3日と連投しており、使いづらい事情があった。特に平井は昨年パ・リーグ新記録の81試合に登板し、勤続疲労も心配されている。開幕直後のこの時期、シーズンを通して鍵を握りそうな勝ちパターンのリリーフ陣を酷使したくなかったのだろう。

 ならば、もう少し先発を引っ張ってみてはどうか。7回1失点、まだ84球だった松本を、辻監督は「7回のピンチ(無死一、二塁)を無失点で切り抜けたところで精一杯」とみた。実際、2年目の松本にとって7回は自己最長タイで、8回はプロ入り後未知の領域。1日の試合では先発の今井が5回までノーヒット3四球に抑えながら、6回に吉田正に許した初安打が痛恨の先制2ランとなり、続くジョーンズ以下にも4連打されて101球で降板している。

 6月30日に先発した高橋光も、6回まで無失点に抑えながら、7回に突如崩れ、ロドリゲスに2ラン、続く若月にも中前打を浴び、やはり101球でマウンドを降りた。辻監督の脳裏に、先発がまた100球手前で崩れるのではという“疑念”が生じても不思議ではなかった。

 開幕後15試合を終えて7勝7敗1分けの西武。辻監督が「昨年もこんなもんだったでしょ?」と言う通り、2年連続Vを果たした昨年も、ソフトバンクとの開幕3連戦で3連敗を喫したのをはじめ、15試合終了時点で7勝8敗と黒星が先行していた。

 ただし、今季はコロナ禍でシーズンが120試合に短縮されており、仮に昨年120試合で終了していたら、優勝はソフトバンクにさらわれていた。自慢の山賊打線にまだ本格的に火がついていない今、投手陣をどうやりくりするか。指揮官の手腕が注目される。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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