レギュラーの証「規定打席」 基準となる「試合数×3.1」はどのように決まったのか?

NPBでは2軍で過去10人の打者が「規定打席未達」で首位打者に

 公認野球規則9.22には、「必要な打席数に満たない打者でも、その不足数を打数として加算し、なお最高の打率、長打率、出塁率になった場合には、この打者がリーグの首位打者、最高長打率打者、最高出塁率打者となる」とある。

 規定打席に未達でも首位打者になる可能性があるのだ。NPBの1軍では、この例が適用されたことはないが、2軍では過去10人の打者が「規定打席未達」で首位打者になっている。

 MLBでは1996年、サンディエゴ・パドレスのトニー・グウィンが498打席451打数159安打、打率.353をマーク。規定打席は502だから4打席足りなかったが、4打数を足してもグウィンの打率は.349で規定打席以上の打率1位のコロラド・ロッキーズのエリス・バークスの.344を上回ったため、グウィンを首位打者とした。以後、このルールは「グウィンルール」と呼ばれるようになった。

 2012年、サンフランシスコ・ジャイアンツのメルキー・カブレラが501打席459打数159安打、打率.3464を記録。規定打席には1打席足りなかったが、1打数を足しても打率.3456でありジャイアンツのチームメイト、バスター・ポージーの打率.336を上回り、グウィンルール2例目の適用となり首位打者になるはずだった。しかし、カブレラはこの年8月、ドーピングで50試合の出場停止処分を受けていた。規定打席未達はこのためだった。カブレラは首位打者になる権利を放棄、MLB機構もこれを了承し、ポージーが首位打者になった。

 なおマイナーリーグの規定打席は、「試合数×2.7」となっている。日本のイースタン、ウエスタン両リーグもこの基準で選定している。大学野球では、東京六大学は「試合数×3.1」だが他には「試合数×3.0」のリーグもあり、リーグによってばらばらだ。

 規定打席はレギュラー選手の証である。プロ入りしたすべての打者は「まずは規定打席入り」と考えるものだ。今季のNPBは120試合。規定打席は372となる。またMLBは60試合なので186となる。今年の打率ランキングはどんなものになるだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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