筋肉の質の改善、ファンからもらった一冊の本… ヤクルト西浦の意識改革

トレーナーからの助言、ファンが送ってくれた一冊の本で気づかされたこと

 その感覚により事前にケアもでき、可能な限りの予防ができる。プライベートで昔から付き合いのあるトレーナーさんからも、以前はもっと紐のような筋張った筋肉だったが、こんなに柔らかいというのは今までになくとてもいいと言われるほどだ。

 さらに自分のプレーをビデオで見返したことも、変化への大きなきっかけになった。「なんか動きが硬くなっているなと思い始めんです。こんなに自分、硬かったっけ? と。だから、筋トレをしつつ、関節を柔らかくできるようにストレッチをしたり、試合での動きに即した、例えば捕球姿勢で股関節を動かしてみるなどの“動きながらのストレッチ”をしたりするよう心がけました」

 これまではどちらかというと筋肉を強くすればパワーも出るし、それによってパフォーマンスも良くなる、筋肉があれば耐えられるだろうと思っていた。しかし、考えを変えてみることで、関節をたくさん動かして柔軟性を良くする方が自分には合っていることに気づくことができた。

 実は、この筋肉に対する考え方を変えるきっかけは、ファンの方が送ってくれた一冊の本にもあった。効率よく体を動かすためには、筋肉を使わずに骨を使うと良いといった内容のもので、最初は半信半疑だったが、読んでみると、筋肉は骨を跨いで関節につくため、骨や関節をより意識したトレーニングをすることで動きも良くなる、筋肉にばかり意識を向けるというのを少し変えてみようという新しい気づきに至ったのだった。

 悔しさをバネにする、自分自身と向きあう、自分を変える、新しいことに挑戦してみる。文字では簡単に書けてもなかなかできるものではないし、結果を出さなければいけない中で挑戦していくのはとても難しいことだと思う。でも、彼が安打を打つたびに、本塁打を打つたびに、笑顔でプレーする姿を見るたびに、努力というものの偉大さを感じずにはいられないのだ。

「1年1年上手くなっていきたいし、シーズンに入って実際に成長した姿を見せていかないとダメだし。レベルが上がったなと思われるような選手になって、レベルアップしたプレーをきちんとしたいと思うんです」今まさに私たちは、その姿を見せてもらっている真っただ中。西浦選手のプレーにより、野球に飢えていた私たちファンの気持ちがどんどんと晴れていくような日々。今季、ますます喜びや楽しさを私たちに与えてくれるに違いない。

(新保友映 / Tomoe Shinbo)

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