長嶋茂雄、原辰徳… 名将2人に仕えた“側近”が語る、共通点と独自の勝負勘

長嶋監督も原監督も鋭い視線を送る試合前練習、選手の見極めは「すごかった」

 現役引退後の99年に野手総合コーチ、2000年からの2年間はヘッドコーチとして、ミスターから采配を学んだ。選手を見る鋭い視線は重なるものがある。
 
「長嶋さんも原さんも選手の見極めはすごいです。投手の出来、その日の野手のコンディションを細かく見て、スタメンを決める。選手の抜擢、変えどころとか、采配が当たるのは、練習をよく見られる監督だからだと思います。選手の状態をしっかり把握して、使う選手を決めているというのも、共通していると思います」

 感覚だけなく、確固たる根拠も采配にはあった。2009年、侍ジャパンが世界一連覇を果たしたWBCでも、チーフスコアラーだった三井氏は「シーズンだけでなく、世界の舞台でも試合勘は研ぎ澄まされていました。シーズン中のような“冒険”はなかったですが、盗塁や次の塁へ進む意識を持ちながらも、行ける根拠がなければ走らせなかったですし、行けると思えば、片岡(治大=現巨人2軍内野守備走塁コーチ)選手らに走る指示を出していました」

 試合前の打撃練習で少しでも明るい兆しが見えれば使う。目の奥に戦う“炎”が見えれば、積極的に選手を使う。こうして1位の名将・川上哲治元監督の1066勝も視界にとらえるほどの白星を積み重ねてきた。それでいて、現在の野球、選手に柔軟に対応している。これからどのような過程で、新たな白星を重ねていくか、数字だけでなく、変化する戦い方も注目だ。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

RECOMMEND

CATEGORY