【森脇浩司の目】鷹千賀、初回3四球大荒れも復調を感じた訳 “縦振り”と“手首の立ち”

最大の武器でもあるフォーク「手首が立ったリリースで投げられている場面も見られた」

「故障もありシーズンの登板は多少遅れ、まだまだ千賀本来の投球は出来ていない。それでも前回に比べると武器のフォークは改善させていた。横ぶり気味だった投球フォームは縦ぶりになり、手首が立った形のリリースでフォークも投げられている場面も見られた。初回2失点からその後は5イニングを無失点というのはさすがという投球だった」

 森脇氏は千賀が6回を投げ切ったことで自身にも、そしてチームにも大きな好影響を与えたと分析する。仮に5回で降板だった場合、残り4イニングを中継ぎ陣に託すことになる。

「言い方は悪くなるかもしれないが、あの状況で6回を投げ残り3イニングならリリーフに送る投手はある程度の投手を出す必要があった。同一カード6連戦、かつ初戦ということを考えれば中継ぎを使いたくない。初登板となった板東に2イニング、ルーキーの津森で凌ぎ切ることができた。これは今後の戦いを考えても大きい」

 カード初戦でソフトバンクは3投手、対するオリックスはアルバースが4回途中で降板し計5投手を起用することになった。千賀は降板後に「最低限のピッチングはできたと思う」と語っていたが、チームに与えた影響は大きかった。

「まだまだ、本人も納得していない部分は多々あると思うが、前回が初回29球で5イニング94球、今日が初回37球で6イニング115球と確実にステップアップしている。また、勝てる投手の条件である修正能力を前回より見ることが出来たし、それは捕手の甲斐にも同様のものを強く感じ頼もしい限りだった。いずれにせよ、前回より今回、そして次の登板に繋がる投球だったのは間違いない。登板を重ねステップアップしているだけに、次回登板はより期待は持てるといえるだろう」

 ソフトバンクのリーグ制覇、そして日本シリーズ4連覇に向け千賀の完全復活は必要不可欠。遅れて来たエースは一歩ずつではあるが確実に本来の姿を取り戻しつつある。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY