計算通りに打者を罠にはめるチェンジアップ お股ニキが選ぶメジャー厳選4投手

レンジャーズのマイク・マイナー【写真:AP】
レンジャーズのマイク・マイナー【写真:AP】

故障からの復帰のカギを握った左腕マイナーのチェンジアップ

【2位】ルイス・カスティーヨ(レッズ)右投
回転効率84.6% 平均球速85.85マイル(約138.2キロ) Spin Axis 2:41 1971回転
空振り率26.6% 投球割合31.62% 被打率.128 ピッチバリュー/100:2.7

 レッズのエースに成長したカスティーヨ。彼が誇る武器はスラット型のジャイロ高速スライダーと、この高速チェンジアップである。4シームや2シームにそこまでの伸びはないが、それでもこのスライダーとチェンジアップを投げ分けるスラット・スプリット型投球で大活躍している。

 サイドスローの投手にありがちなサイドスピンのかかったチェンジアップは、横スライダーの逆バージョンのように高速で大きくシュートしながら右に落下する。90マイル代後半(約150キロ超)でシュート回転する速球を持つカスティーヨが、この高速チェンジアップを投げてきたら、打者は見分けがつかずに空振りしてしまう。さらに、高速チェンジアップにスライド気味の変化を加え、スラットのように動かすことも可能だった。

 また、スラット型スライダーの曲がり出しからの変化速度は素晴らしく、ひょっとするとチェンジアップより、さらに上の質かもしれない。山口俊など腕のアングルが低いタイプの投手に参考になる投球スタイルでもある。

【3位】マイク・マイナー(レンジャーズ)左投
回転効率95% 平均球速84.96マイル(約136.7キロ) Spin Axis 10:08 2286回転
空振り率15.8% 投球割合24.61% 被打率.178 ピッチバリュー/100 2.7

 一度肩の故障で表舞台を離れ、復帰は難しいかと思われたが、見事に復活。ここ2年は先発としての投球は素晴らしく、rWARではリーグトップクラスである。ややパワー偏重な思考となりがちだったレンジャーズのフロント陣に考えが滑らかな人物が加入した可能性が高く、ランス・リンとともに復活劇を演じている。

 そんなマイナーの復活を支えたのがチェンジアップである。プレートの三塁側を踏むサウスポーが投げ込むチェンジアップは、回転効率が高く、実質「緩急の効いたシュート回転の2シーム」のように独特だ。右打者のインコースに食い込んでボール球と思わせてから、わずかにベース側に戻ってストライクとなるフロントドア2シームのような使い方が光った。カッターなども活用するマイナーは、こうした軌道偽装とも言える、同じコースで逆の変化を持つ球を使い込んで打者を幻惑する。こうした新しいチェンジアップの使い方はアナリストらの意見を参考にしたわけではなく、自分で考えて組み立てたものだという。

 また、打者有利のカウントで走者がいる時は、右打者の甘いコースからやや外寄りに落とす典型的な「併殺チェンジ」で誘い、計算通りに併殺を奪う技術も光っていた。チェンジアップは、投球技術に優れるマイナーが投球のメインとして欠かせない球になっている。

お股ニキ脱帽 4シームより速いチェンジアップとは…!?

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