DeNA山崎の背信投球で大逆転負け…ラミレス監督の誤算はどこにあったのか?

1点差の9回には守護神・山崎が大量5失点、防御率8.74

 1点差のまま迎えた9回には「昨日は3者凡退といういい形だったので期待した」という山崎を投入したが、先頭打者の安部に一、二塁間を破られ、続くピレラもフルカウントから四球を与え、場内には不穏なムードが漂い始めた。打席にはここまで4打席凡退の鈴木誠。前の打席では、打者一巡の猛攻の中、得点圏に走者を置いた場面で見逃し三振に倒れていた。鈴木誠の性格や打率を考えても「危ない」第5打席だったが、その予感通り、中堅フェンスを直撃する同点打を打たれた。カウント2-2になるまでの4球、バットを1度も振らなかった侍ジャパンの4番候補に、不振の守護神の真ん中に入った147キロのストレートを一振りで仕留められた。

 その後、2死満塁となり、會澤に2打席連続弾となる満塁本塁打を浴びて試合が決まった。カードの初戦、佐野が9回にライトスタンドに放った劇的サヨナラ満塁弾と同じような場所に白球が吸い込まれていった。広島の猛攻が続いた9回には、強くなった雨に時折、雷の音も不気味に響いていた。

 ラミレス監督は「ウチのベストの2人のリリーフが打たれたので仕方がない」と継投失敗を悔やむことはなかった。しかし、ボールの走りや変化球の切れなどを見ても、パットンと山崎の状態が悪いことは明らかだった。9回の山崎の投入は、いわば定石通りの采配として仕方がないにしても、一人一殺の継投は本当にベストの選択だったのか。再検討の余地は必要がありそうだ。

 試合後のリモート会見でラミレス監督は「明日は休みなので、しっかりリセットしてもらって、火曜日からもまた変わらず投げてもらいたい」と、この日で3敗目を喫し、防御率8.74となった山崎のクローザー起用に変更がないことを明言した。「こんなに得点されることも、そうそう続くことではないはず」とも言った指揮官だが、上昇気流に乗りかけた「いい流れ」は最悪とも思える形で止まった。28日からの首位巨人との決戦を前に、なんとも嫌な気配の漂う敗戦となった。

(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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