無観客で問われる早実の“真の強さ” 観客を味方につける名門はどこまで勝ち進めるか

早実・和泉実監督【写真:荒川祐史】
早実・和泉実監督【写真:荒川祐史】

ベンチやスタンドが一体となって相手を飲み込む勢いが武器だった

 高校野球西東京大会は28日、市営立川球場で2回戦が行われ、早実は5-0で八王子実践を下し3回戦に駒を進めた。初回、主将の2番梅村大和内野手が内野安打で出塁すると、走者を進め暴投の間に先制のホームイン。3回には相手投手が制球を乱し走者をためるなか、4番清宮福太郎内野手の併殺打の間に1点を加えた。6回には5番西口純生内野手が長打でチャンスを作り犠飛で生還。7回には相手のミスも絡みダメ押しの2点を加えた。

 チーム5本塁打が飛び出した前日の初戦とはうって変わって、この日の長打はわずかに一本。どちらかと言えば相手のミスに救われた格好だ。和泉監督は「後藤君がいいピッチャーだった」と相手投手を称えつつ「昨日の勝ち方に子どもたちが酔っちゃってる。コロナで(試合後の)球場ミーティングもできず、そこを修正できなかった僕の力不足。一週間、八王子の溝口君の左対策をやってきた影響もある。相変わらず守備の下手な早実ですみません」と話した。

 ここ数年は打ち勝つ試合の多かった早実だが、必ずしも毎年隙のない打線を揃えてきたわけではない。むしろ大味でムラのある野球ながら、上位下位問わず打線のどこかで不意に一発が飛び出すと、ベンチやスタンドが一体となって相手を飲み込む勢いが武器だった。一方で投手力には課題も抱え、勝っても負けてもその多くは乱打戦。高校野球ファンを魅了する“何か起こりそうな期待感”が球場を支配し、相乗効果でそれを実現させる試合展開が多かった。

 それだけに、無観客での今大会がチームにどう影響するのか。和泉監督は「応援には日頃から本当に助けになってる。いい空気の中で甲子園にも出させてもらってる」と認めつつも「それでも注目はしてもらってると思うので。もともとベンチでは逆側の応援が聞こえるし、グラウンド外ではそれよりももっと集中していますから」と話したが……。

 スタンドから観客が消えた今年、名門早実はどこまで勝ち進めるのか。数々の修羅場をくぐり抜けてきた名将・和泉監督の采配にも注目だ。

(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)

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