「スタメンから外せない」巨人ウィーラー 欠かせない打撃と危うい外野守備のジレンマ

巨人のゼラス・ウィーラー【写真提供:読売巨人軍】
巨人のゼラス・ウィーラー【写真提供:読売巨人軍】

京田に左、大島に右を抜かれて連続タイムリー三塁打

■中日 7-1 巨人(7日・ナゴヤドーム)

 首位を走る巨人にとってジレンマになりつつあるのが、ゼラス・ウィーラー内野手の“外野守備”だ。7日に敵地・ナゴヤドームで行われた中日戦に「5番・左翼」でスタメン出場したが、2回の守備で左、右を抜かれ連続適時三塁打とされるシーンがあった。

 この回、投手の大野雄に先制適時打を許し、なおも2死二、三塁。ここで京田に左中間を破られ、2者が生還した上、俊足の京田には三塁を陥れられた。さらに、続く大島の打球は左翼線付近へ。ウィーラーは果敢にダイビングキャッチを試みるも届かず、ボールが外野を転々とする間に、大島もまた三塁に達した。

 最近6試合連続で「左翼」で先発しているウィーラーだが、本職は三塁手。外野手としてはお世辞にも動きがいいとは言えない。それでも、6月の開幕直後に池田駿投手との交換トレードで加入したウィーラーは7日現在、28試合に出場して打率.289、4本塁打、10打点と打棒を振るい、得点圏打率.357の勝負強さも光る。一方、三塁には押しも押されもせぬ主軸に成長し、14本塁打、39打点で“セ・リーグ2冠”の岡本がいる。一塁には打率.305と打撃好調の大城、もしくはベテランの中島が入ることが多い。

 巨人で22年間スコアラーを務め、2009年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)第2回大会では侍ジャパンのチーフスコアラーとして世界一に貢献した三井康浩氏は「ウィーラーは三塁を守らせれば安心して見ていられるのですが、外野となると、一生懸命やっていることは伝わってくるものの、特にナゴヤドームのような広い球場ではリスクが高いと言わざるをえません。原監督もそれは承知の上でしょう」と指摘。

 一方で「巨人打線は2~3番を打つ丸(今季打率.236=7日現在)、坂本(.237=同)に当たりが出ていない分、岡本以降が頼りという台所事情がある。スイングの鋭いウィーラーはスタメンから外せない」と分析している。

「似ている」といわれるハクション大魔王の歌を登場曲に、巨人ファンの間にも人気が浸透中。いろいろな意味で存在感を発揮する助っ人をどう起用していくかが、原巨人の命運を左右するかもしれない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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