松坂、久保、小谷野、大隣ら… 選手生命の危機からカムバックを遂げたパ選手たち

オリックス安達は潰瘍性大腸炎を乗り越え、遊撃のレギュラーを取り戻す

○南昌輝投手 ロッテ 【黄色靭帯骨化症から昨季1軍にカムバック】

 そんな黄色靭帯骨化症から、いままさに復帰を果たしている選手がいる。南は、2010年にドラフト2位指名され、ロッテに入団。2年目の2012年に26試合で防御率0.36という驚異的な数字を残して台頭すると、翌2013年も28試合に登板し、中継ぎ陣の一角を占めるように。2014、2015年は不調だったものの、2016年に再ブレーク。開幕から1軍での登板を続け、夏場以降は勝ちパターンの一角としてチームに貢献。キャリアハイの57試合に登板し、5勝4敗16ホールド、防御率2.74と大車輪の活躍を見せた。

 2017年は右肩の違和感もあり登板数を減らしたが、2018年は再びセットアッパーとして安定した投球を見せる。しかし、7月20日のオリックス戦登板後に下半身の脱力感を訴え、黄色靭帯骨化症と診断された。その後は、長いリハビリの日々を過ごすこととなる。幸いだったのは、同じく黄色靭帯骨化症を発症した経験がある大隣2軍投手コーチが2019年より就任したことだ。難病からカムバックした大隣コーチの存在は、南にとって非常に大きかったことだろう。

 見事な回復を果たした南は、昨季8月15日に1軍に復帰。4試合の登板機会を得ると、今季はキャンプから順調に調整を進め、オープン戦では2試合に登板。6月2日の練習試合では、最速146キロと直球に威力も感じられ、3者凡退で快調な仕上がりを印象付けた。黄色靭帯骨化症を乗り越えた南投手は、変わらず強気な直球主体の投球で、次のステージへと歩みを進めている。

○安達了一選手 オリックス 【潰瘍性大腸炎を乗り越え、華麗なプレーで定位置に復帰】

 2011年のドラフト1位でオリックスに入団すると、2年目の13年には遊撃手のレギュラーに定着。堅実かつ鮮やかな守備とスピード、勝負強い打撃で13年から3年連続で130試合以上に出場し、内野手の要としてチームに欠かせない存在となった。

 そんな安達を突然病魔が襲う。2016年1月に国指定の難病・潰瘍性大腸炎と診断されたのだ。当時28歳、ちょうど全盛期を迎えるであろう主力が、前例のない難病で離脱。目前に控えていたキャンプへの参加は見送り、リハビリの日々が始まった。

 先の見えない日々を過ごす安達だったが、驚異的な回復力を見せる。2月中旬には練習を再開し、4月にはウエスタンで実戦をこなせるまでに。すると、シーズン直後の4月12日に1軍に復帰、同日のナイトゲームからスタメン出場。その後も状態を見ながら1軍でのプレーを続け、同年7月には、自身初となる月間MVPも獲得。118試合の出場で、キャリアハイの打率.273を記録し、見事なカムバックを果たした。

 翌2017年も開幕から主にディフェンス面でチームに貢献。9月には、潰瘍性大腸炎が再発したことから離脱するも、2018年は1年を通して正遊撃手のポジションを確保し、初のオールスターゲームにも出場した。2019年は大城滉二内野手などの台頭もあり、出場機会が減少するも、打撃面の好調さから三塁手として起用されるなど、しぶとい働きを見せた。

 そんな安達だが、オフの契約更改ではショートストップへの強いこだわりを吐露。先述の大城に加え、太田椋内野手や宜保翔内野手など伸び盛りの遊撃手が多いチーム事情だが、彼らと真っ向勝負する意気だ。遊撃手の座を譲らないために、安達は今年もがむしゃらに食らいついていく。

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