延長10回カウント1-1から「代打の代打」 早慶戦でハマった名将・堀井監督の勝負手

選手に指示を出す慶大・堀井哲也監督【写真:編集部】
選手に指示を出す慶大・堀井哲也監督【写真:編集部】

タイブレーク先頭で代打→バント構えも捕逸で走者進塁→さらに送った代打が決勝打

 社会人野球で名を馳せた名将のタクトが大舞台で冴えた。15日の東京六大学春季リーグ戦、慶大が早大を延長10回タイブレークで早大に5-3で競り勝ち、開幕4連勝。秋春連覇に王手をかけたが、勝負の分かれ目は堀井哲也監督が打った「代打の代打」だった。

 指揮官が動いたのはカウント1-1の場面だった。延長10回無死一、二塁から始まるタイブレーク、先攻の慶大は先頭の7番・嶋田翔(4年)に代打・田口巧(4年)を送り、バンドの構え。しかし、2球目が捕逸となり、走者2人が進塁。労せずして二、三塁に。すると、堀井監督がベンチを出た。

 さらに代打の橋本典之(4年)を打席へ。すでにカウントが進んでいる難しい状況だったが、思い切った采配に応えるように橋本典はバットを振った。打球は右中間を割り、2人の走者が生還する三塁打に。采配がピタリとハマり、これがそのまま決勝点になった。

 伝統の早慶戦で当たった戦略。試合後、指揮官は「もともとリーグ戦はレギュラーでスタートしたけど、ベンチスタートにもかかわらず、前の試合もこの試合も集中してやってくれて、いい働きをしてくれて感謝している」と打った橋本典をまず労った。

 カウント1-1から送った代打の代打。「(犠打で)送った後、橋本典をどこで出すかと思っていたけど、ここは勝負じゃないかという判断をした」と勝負手だったと回顧。「その時に考えられる一番ベストの判断をする」という信条が、ここ一番で結果に結びついた。

 ここにきて状態を落とした橋本典は「リーグ戦が始まって、監督からアドバイスをもらって、そのアドバイスだけを忠実に意識してやったことが結果に出たんじゃないかと思います」と内容は伏せたものの、指揮官の助言が生きたことを明かした。

 名門・JR東日本を15年間率い、都市対抗優勝に導くなどした社会人野球の名将。今季から母校の監督に就任し、初の早慶戦で勝利をモノにした。1試合総当たりで行う短期決戦、優勝まであと1勝。勢いそのままに、全勝対決となる16日の法大戦で就任即Vを狙う。

(Full-Count編集部)

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