鷹6年目・笠谷が先発初勝利 苦悩の左腕を支えたファームでの教え「技心体なんだと」

ソフトバンク・笠谷俊介【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・笠谷俊介【写真:藤浦一都】

笠谷が5回1失点で先発初勝利、7月に中継ぎでプロ初勝利も「全然こっちの方がうれしい」

■ソフトバンク 4-2 オリックス(27日・PayPayドーム)

 27日のオリックス戦(PayPayドーム)で5回1失点で先発としての初勝利を挙げたソフトバンクの笠谷俊介投手。大分商からプロ入りして6年目の左腕が、ようやく手にした先発白星の影には、苦悩の時期を支えたファームコーチの支えがあった。

 笠谷にとっては今季6度目の先発登板。これまでの5度の先発は、いわゆるオープナーとして短いイニングを投げて2番手に繋ぐ役割だった。結果が出たのは4度目の先発となった8月9日の楽天戦。中2日で先発しながら、3回を被安打ゼロの無失点に抑えて2番手の板東湧梧へとバトンを繋いだ。続く先発登板となった20日のロッテ戦でも4回を無失点。6個の三振を奪う好投を見せた。

 そして迎えた27日のオリックス戦。笠谷は3回までパーフェクト。4回には先頭の二塁打から1点を失うものの、それは進塁打後の内野ゴロ間の失点。相手を勢いづかせることなく最少失点で切り抜け、5回も先頭の安打後の3人を打ち取って先発の役目を果たした。

 この間、7月17日のオリックス戦(京セラ)で2番手として2イニングを完璧に抑え、うれしいプロ初勝利を挙げたが、同じオリックスを相手に挙げた先発としての初勝利に「全然こっちの方がうれしいです。ホーム(球場)で勝てて良かったです」と、地元・九州での勝利を素直に喜んだ。

 工藤監督は「行けるところまで行ってもらう」と“オープナー解除”を宣言していたが、笠谷は「中継ぎのきつさもわかっていたので、とにかく1イニングでも長く投げようという気持ちでした」と語る。5回68球での降板となったが、それは「いいところで終わった方が次に繋がる」という首脳陣の“親心”でもあった。

 5イニングとはいえ、無四球ピッチング。フルカウントになっても「四球は絶対に嫌だった。気持ちで負けたくなかった」と言えるのも笠谷の成長の証と言えるだろう。プロ初勝利の時に「実家に送ります」と語っていたウイニングボールは、まだ笠谷の手元にあるというが、そこに新たなウイニングボールが加わった。「今度まとめて送ります」と、改めて親孝行宣言も飛び出した。

「自分のストレートが投げられない。すごく悩んだ時期がありました」

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