どこを守ってもGG級 “究極のユーティリティ”大和が鍵握るDeNAの逆転優勝
29日のヤクルト戦では二塁手で出場し好守でチームを救った大和
■DeNA 9-3 ヤクルト(29日・横浜)
セ・リーグ2位につけ首位・巨人を追うDeNAを陰で支えているのが、大和内野手だ。29日に本拠地・横浜スタジアムで行われたヤクルト戦でも「8番・二塁」で先発出場し、9-3の大勝の中でキラリと光る守備を見せた。
試合はDeNAが1回に先制、ヤクルトが4回に逆転、DeNAが5回に再逆転、と目まぐるしく流れが変わった。7-3とリードした6回1死一、二塁のピンチ。ここで、前の打席でプロ5年目にして3年ぶり通算2本目の本塁打を放った山崎を迎えた。
山崎が放った打球は強烈なピッチャー返し、ゴロでセンターへ抜けようかという当たりとなった。この打球を大和は逆シングルで軽やかにさばき、そのままグラブトス。遊撃・倉本が捕って一塁へ転送し併殺を完成させた。この回を無失点で切り抜け、試合の流れを決定づけた。
大和は2017年オフに阪神からFA移籍して以降、主に遊撃手として出場してきた。特に昨季は遊撃以外守っていないが、もともと遊撃、二塁、そして中堅のどこを守ってもゴールデングラブ級の“超ユーティリティー・プレーヤー”である。今季は、前日28日の同戦で初めて二塁手として先発出場していた。
その背景には、打率.316と打撃好調の倉本を生かす意図があった。ラミレス監督は「今は倉本が好調で、彼はセカンドよりショートがいい。大和は過去に二塁でプレーしているし、誰が一塁手であっても一、二塁間をカバーできる」と説明している。どこを守っても高いレベルでこなす大和を二塁へ回した方がバランスがいいのだ。
さらに、ここ3試合連続で一塁手として先発しているソトは、ゴールデングラブ賞4度を誇り現在は打撃不振で2軍調整中のロペスと比べると、守備の不安は拭えない。大和が二塁にいることによって、ソトの守備範囲までカバーできる。大和の存在によりさまざまな選手を調子によって使い分けることができるのだ。守備重視で考えるなら、二塁・柴田&遊撃・大和のコンビが鉄壁だろう。
寡黙で地味な印象だが、打率.270をマークし、今月25日の阪神戦では同点の9回にサヨナラ打を放つなど、打撃もしぶとい。プロ15年目・32歳とベテランの域に達しつつある大和が輝きを増している。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)