巨人はなぜ逃げ切れたのか? 沢村賞投手が語る勝敗分けた「見応えある駆け引き」

巨人・原辰徳監督【写真提供:読売巨人軍】
巨人・原辰徳監督【写真提供:読売巨人軍】

中盤から劣勢ながらも巨人が辛勝、川崎憲次郎氏「中継ぎ陣が頑張った」

■巨人 3-2 中日(30日・東京ドーム)

 巨人は30日、本拠地での中日戦に3-2で逃げ切り勝ちし、35勝21敗3分けで今季初の貯金14とし、首位で8月を終えた。

 初回、立ち上がりが不安定だった中日の先発・勝野昌慶を捉えて3点を先制。先発マウンドに上がった2年目右腕の直江大輔も3回までパーフェクト投球と奮闘した。だが、4回にピンチを迎えた直江が途中降板。さらに、打線も2回以降は攻め手に欠いて追加点を奪ず。中盤から、試合の流れは中日に傾いたかに見えたが、辛くも逃げ切った。では、この日の巨人の勝因はどこにあったのだろうか。

 ヤクルトと中日で投げ、沢村賞も受賞した川崎憲次郎氏は「劣勢になりながらも、中日に一押しさせなかった中継ぎ陣」をポイントに挙げた。

 この日、プロ2度目の先発となった直江は、3回まで中日打線を無安打無四球に抑える快投を見せた。だが4回、1死から平田良介に右前打を許すと畳みかけられ、2死一、二塁から高橋周平の中前タイムリーで1失点。続く阿部寿樹に四球を与えて満塁としたところで、マウンドを下りた。

「2死満塁という場面でマウンドを任された大江(竜聖)投手が頑張りました。京田(陽太)選手に対してフルカウントとしながらも、最後は142キロのストレートで空振り三振。もう1点入ってもおかしくない場面でしたが、最近調子を上げている中日にもう一押しをさせなかったことは大きいですね」

 もう一押しさせなかったと言えば、6回に登板した高梨雄平も同じ。自らのボークなどもあり、走者を三塁まで進めたが、最後は代打・堂上直倫を内角低めのスライダーで空振り三振に斬り、ガッツポーズを見せた。

 川崎氏が「見応えのある駆け引きが見られた」と振り返るのは、1点差まで詰め寄られて迎えた7回だ。巨人5番手の大竹寛は2死から大島洋平を四球で歩かせ、ここでこの日2安打と当たっていた平田を打席に迎える。3球目で大島に二盗を許して、2死二塁とした後だった。

「シュートを得意とする大竹投手に対して、平田選手はシュート狙いで打席に立っていました。カウント2-2から5球目の外角スライダーはファウル。もう1球、外角でもいいかなと思いましたが、6球目は内角シュートでファウル。最後は7球目の内角シュートで三塁フライ。大竹投手がシュートで投げ勝ちました。僕もシュートを得意としたので分かるんですが、おそらく大竹投手は平田選手のファウルの仕方を見て、バットをおっつけるような打球ではなかったので、シュートで攻めていいと判断したんでしょう。いい勝負でした」

 8回に投げた中川皓太は3者凡退に締めたものの、9回には守護神デラロサが2死満塁のピンチを凌いで勝利。「2回以降は追加点もなく、8月好調な中日に流れが傾きながらも逃げ切った。そこに巨人が首位であり続ける理由があるのかもしれませんね」と川崎氏は話す。

 この日の勝利で、今季唯一負け越していた中日との対戦成績を7勝7敗1分けの5分に戻した巨人。9月もこのまま首位を走り続けるのか。あるいは2位以下のチームが猛チャージを見せるのか。後半戦に差し掛かるシーズンの行方から目が離せない。

【動画】ベテランの好守が20歳・直江を救う! チームを勇気づける38歳亀井善行のランニングキャッチ

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