「キャッチボールが怖い…」 恐怖を感じた阪神藤川の直球、OB藪氏が語る“火の玉”

井川慶を怖がらせた藤川のストレート、藪氏が怖さを感じたウィリアムスとのキャッチボール

 今では時速150キロを越える速球派投手が増え、目指すは160キロの大台という現実がある。同時に、投手はボールの回転数にも大きく注目し、回転数を多くすることで“キレ”を補い、実際の球速以上に速く感じるような努力をしている。藪氏が現役時代、その回転数に驚かされたのが、藤川球児だったという。最初に藤川の凄さを教えてくれたのは、当時チームメートだった井川慶氏だった。

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「球児が1軍に定着したのは2004年。僕の最後の年です。それまでは2軍と行き来していた。ある時、井川が言うんです。『球児の真っ直ぐは違いますよ。回転数が多くて、回転軸があまり傾いていないから伸びてくる。キャッチボールをしていて怖いです』って」

 藤川は150キロ超のボールを投げ込むが、打者の手元で見せる伸びや圧倒的な球威から「火の玉ストレート」という異名を執った。マウンド上で投げる球だけではなく、キャッチボールで投げる球から回転数高く投げているこだわりに、40歳を超えた今なお現役を続けているヒントが隠されているのかもしれない。

 藪氏がキャッチボールをして怖さを感じたのは、藤川と「JFK」トリオを組んでいたジェフ・ウィリアムスだという。

「僕がキャッチボールしていて怖かったのはジェフ。左投手で下から投げますからね。まず見慣れないフォームだし、ボールがウワッと迫る感じでやってくる。今でも多分、キャッチボールをしたら怖いんじゃないかと思います。

 実際にはキャッチボールしたことはないけど、近距離なのに強く投げていて驚いたのが、米ジャイアンツ時代のチームメート、(ティム・)リンスカムですね。たまに近距離でも軽く投げられない投手がいるんですよ。彼は多分そのタイプ。ピッチャーゴロを一塁にフワッと投げられないタイプいますよね。アレです。リンスカムはいつも(マット・)ケインとキャッチボールをしていたけど、とにかく速い。近距離なのに速球派で、あれは見ていて怖かったですね(笑)」

 球場に出掛けたり、キャンプを訪れたり、プロの投手がキャッチボールをする姿を間近で見るチャンスがあったら、どんな球を投げているのか観察してみるのも面白いかもしれない。

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(佐藤直子 / Naoko Sato)

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