広島浮上の鍵を握る“若鯉150キロトリオ” 新勝利の方程式でリリーフ改革なるか?

塹江、ケムナ、島内は150キロを超える直球を持つ“快速トリオ”

 7月5日に1軍昇格したケムナは、ロングリリーフも含めたビハインド時の登板が主で、まだ勝敗やホールド、セーブはない。アメリカ人の父と日本人の母を持つケムナは、米国ハワイ州生まれだが、5歳から高校卒業までを広島のキャンプ地である宮崎県日南市で過ごした。幼少時からキャンプが行われる天福球場に通ったという右腕は、プロ入り後は恒例となっている春季キャンプ初日の激励会で、地元園児から監督に向けて「ケムナ選手のことをよろしくお願いします」と、毎年のように名前が挙がっていた。

 日本文理大出身と中央球界では無名の存在で、大卒ながら将来性を期待されての指名だった。プロ2年目の昨季、初の1軍昇格となった9月にプロ初登板を果たした。大量リードを許した展開で、わずか1イニングのみの登板だったが、150キロ超を連発した球速掲示板の表示に、マツダスタジアムのスタンドからは1球ごとにどよめきが上がっていた。昨秋キャンプでは1軍に抜擢され、「真っ直ぐの向上」を課題に挙げていたが、その成果が今季、1軍で発揮されつつある。

 ケムナが昇格した2日後の7月7日には、プロ2年目の島内が1軍登録された。ルーキーイヤーから25試合に登板するなど、即戦力の期待に応えていた右腕は、今季もここまで中継ぎとして勝ちゲームでも起用され、2ホールドを記録している。18年ドラフト2位入団の島内は、九州共立大卒で大瀬良大地の後輩としても注目された。持ち味のストレートの最速は157キロを計時しており、チェンジアップ、フォークを武器に、絶対的なクローザー候補として有望な存在だ。

 8月11日の中日戦では、ビハインドの展開ながら3番手として登板し、5者連続奪三振を記録して強烈なインパクトを残した。昨季10.36を記録した奪三振率は、今季は30日終了時点で13.50とさらに上がっており、不振が続くチームでも、その存在感は日に日に大きくなっている。

佐々岡監督が掲げるリリーフ投手の条件の一つ「終盤を抑えるパワーピッチャーが必要」

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