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鷹・柳田は“無双状態”、貢献光る23歳左腕の“オープナー”…セイバー指標で見る8月のMVPは?

新型コロナウイルスの影響で約3か月遅れて開幕したプロ野球。8月を終えて各球団がほぼ60試合超を消化し、シーズンの折り返し地点を迎えたことになります。そこで、ここではセイバーメトリクスの視点から8月のMVPを選出してみましょう。

ソフトバンク・笠谷俊介【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・笠谷俊介【写真:藤浦一都】

ソフトバンクが笠谷の先発で用いる“ピギーバック”という新たな運用方法

・8月月間MVP パ・リーグ投手部門

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 投手評価には、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標RSAAを用います。ここでのRSAAはFIPベースで算出します。

 各チームのRSAA上位3名は以下の通りです。

西武 宮川哲3.16 平井克典2.98 増田達至1.37
ソフトバンク 笠谷俊介4.95 石川柊太3.72 千賀滉大3.47
楽天 松井裕樹3.41 福井優也2.01 安樂智大1.51
ロッテ 二木康太4.77 益田直也4.05 ハーマン3.26
日本ハム 有原航平4.65 バーヘイゲン4.00 上沢直之3.17
オリックス ヒギンス2.26 アルバース0.78 漆原大晟0.68

 月間4勝0敗で公式の月間MVPの有力候補に挙がるロッテ石川歩がチーム上位3名に入っていませんが、これは月間の奪三振が9、奪三振率3.12、被本塁打2となっており、奪三振、与四死球、被本塁打のみで測るFIPベースの指標では低く評価されてしまうからです。なお、ロッテの投手陣は今月のRSAAランキング上位15位までに6人の投手(上記の3名の他、唐川侑己3.04、美馬学2.58、小島和哉2.47)が含まれています。石川はそれに次ぐチーム7位です。

 今季のロッテは吉井理人投手コーチによる登板スケジュールの管理が徹底しており、今季3連投の投手はまだ1人もいませんし、6連戦において4試合以上登板した投手もいません。また先発投手の運用についても8月30日現在、シーズンQS率46.8%はリーグ1位ですし、先発投手のイニング数360、先発投手が6イニング以上投げた割合61.3%もリーグ1位となっています。救援投手陣に負担をかけない運用を心がけているのです。

 8月のパ・リーグRSAAランキングで1位となったのは、ソフトバンクの笠谷俊介です。笠谷は8月に5回先発していますが、そのうち3回は、2人の投手でほぼ試合を作る“ピギーバック”という運用方法が活用されています。

8月6日 先発 笠谷俊介 2回1失点(自責点0)
    2番手 板東湧梧 3回0失点(勝ち投手)

8月9日 先発 笠谷俊介 2回0失点
    2番手 板東湧梧 4回0失点(勝ち投手)

8月20日 先発 笠谷俊介 4回0失点
     2番手 松本裕樹 3回2失点(自責点2)

「先発投手は5イニング以上投げなければ勝ち投手の権利を得ることができない」というルールにより、笠谷に勝ちがつくことはありませんが、イニングを限定することで集中して打者と対戦して結果を残すことができ、チームとしても、2人の先発投手で試合を作り、救援投手の負担を軽減させることができる、という利点を得ることができます。記録上、何もつかない笠谷ではありますが、チームとしてしっかりと評価・査定はされていることでしょう。

 8月27日には先発登板した笠谷が5イニングを投げ失点1で降板後、2番手に板東が3イニング失点0でホールド、最終回は森唯斗がセーブし、笠谷に先発としての初勝利がつきました。笠谷が登板した8月の5試合の成績は以下のようになります。

笠谷俊介 RSAA 4.95
17回 防御率0.53 奪三振24 奪三振率12.71 被本塁打0
被打率.172 WHIP0.88 K/BB4.80 FIP1.53

 このように素晴らしい内容となっており、月間の既定投球回数には到達していませんが、セイバーメトリクスによる8月の月間MVPとして笠谷俊介を挙げたいと思います。9月以降の運用方法についてはまだ定かではありませんが、いずれは先発としてQS、HQSを連発する投手に成長することを期待したいです。なお、規定投球回数以上の投手でRSAAトップは二木康太でした。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ・ラジオ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。一般社団法人日本セイバーメトリクス協会会長。

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