「この経験が糧になる」 見送るつもりだった練習会…健大高崎・下が翻意したワケ

健大高崎・下慎之介【写真:荒川祐史】
健大高崎・下慎之介【写真:荒川祐史】

東京ドームのマウンドは「テレビでもスタンドでも見てきた憧れの場所」

 プロ志望の高校球児がスカウトの前でアピールする「プロ志望高校生合同練習会」の東日本エリア2日目が6日、東京ドームで行われ、東日本の高校生計41名が参加。前日を上回るNPB球団75名、アマチュア5名の計80名のスカウトを前に、シートノックやシートバッティングなどで猛アピールした。

 昨秋神宮大会準優勝の健大高崎のエース左腕・下慎之介投手はこの日、カウント1-1から始まる実戦形式のシートバッティングでB組の4番手として登板。打者5人と計7打席対戦し、被安打2、2四球、1奪三振の内容だった。

「夏の代替大会と甲子園交流試合に比べたら、自分の思うような投球ができたので満足している。自分がやってきたことはすべて出せたのかなと思います」と下。東京ドームのマウンドについては「自分は小さいころから巨人ファン。テレビでもスタンドでも見てきた憧れの場所なので、そういうマウンドで投げられたのは大きな経験になりました」と話した。

 甲子園交流試合の時点では、今回の合同練習会参加を見送る考えも示していた。一転しての参加については「自分の場合は秋の結果がすごく良くて、夏で評価を落としてしまった。夏が始まる前までは秋の状態を見てほしいと思っていたが、夏、甲子園といい結果を残せなかった。このままだとヤバいと思って受けました」と複雑な胸中を明かす。

 そんな左腕の考えに、健大高崎のチームメートも感化。当初は進学予定だった鈴木威琉投手、橋本拳汰投手も進路を翻し、この日の合同練習会に参加した。「同じ志を持つものとして、ずっと一緒に練習してきた。ずっと自分が1番背負っていていいのかというくらいの投手陣。自分が(プロに)行けなくて2人が行けるということももちろんある。今日来ている2人はライバルだと思ってます」と下。仲間であり、ライバルでもある健大高崎の投手陣で、プロを前に最後のアピールを行った。

「上の世界では大胆に投げてるようでは通用しない。相手はどうであれプロ野球選手と対戦しているという意識を持って際どいコースに投げました。来ることに意味があったと思う。こういう舞台を経験できたことが糧になる」。腹をくくったエースに、もう未練はない。

(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)

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