元メジャー右腕が指摘する巨人の強さ 中軸無安打も投手戦を制した「8番打者」の存在

巨人・吉川尚輝【写真:荒川祐史】
巨人・吉川尚輝【写真:荒川祐史】

藪恵壹氏が称える「8番・吉川」の出塁と守備

■巨人 2-0 中日(8日・ナゴヤドーム)

 巨人は8日、敵地での中日戦に2-0で勝利した。巨人は菅野智之投手、中日は大野雄大投手の両エースが投げ合った一戦。菅野は開幕10連勝、大野雄は6試合連続完投勝利の記録がかかる中、どちらも一歩も譲らぬ投手戦となったが、巨人がわずかに上回った。この試合、両軍の勝敗を分けたポイントはどこにあったのか。

 阪神OBで元メジャーの藪恵壹氏は「やっぱり8番ですよね、巨人は」と、3打数3安打2得点と活躍した吉川尚輝内野手の働きを挙げた。

 この日の巨人打線は、3番・ウィーラー、4番・岡本和真、5番・丸佳浩の主軸3人が、いずれも無安打に終わった。大野雄の快投に打線の核を封じ込められ、1番から始まる攻撃の波を繋げず。だが、ここで機能したのが8番から始まる攻撃だった。

「8番の吉川が3本も打って、2回ともホームを踏んでいる。攻撃の起点となりました。下位打線から上位に繋がって、1、2番打者で返している。先制点をあげた3回は、7番から始まって1死。続く吉川選手がアウトになっていたら、次は菅野投手ですから、無理矢理繋がないでイニングが終わっていたでしょう。だけど、吉川選手がセンターへのヒットで出塁すると、送りバントから二塁打と繋げて先制点。吉川選手の出塁は大きかったですよね」

 一方の中日打線も、8番・木下拓哉、9番・大野雄が2安打ずつを放って出塁するも、ブレーキとなったのは1番打者を任される大島洋平だった。「今日は全然タイミングが合っていなかった」と藪氏。菅野は走者を背負った2回に大島を空振り三振、5回にはアルモンテを二ゴロ併殺に打ち取り、思った通りにアウトを積み重ねた。さらに、守備でも9回1死一塁から阿部寿樹の打球を、二塁の守備に就いていた吉川尚が併殺に仕留めて試合終了となった。

「巨人は大分、逃げ切れる形ができてきた。8回は中川皓太投手、9回はデラロサ。しかも、今日は最後にダブルプレーで試合を締めた。取れるアウトをキッチリ取った巨人の凄さです。投げても、打っても、守っても、コツコツと積み重ねるべきところでミスがない。これこそ今季の巨人が勝てる理由でしょうね」

 この日の勝利で、2位DeNAとのゲーム差を「8.5」に広げた巨人。ミスの少なさや守り抜く強さが、その独走態勢を支えている。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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