ロッテ和田康士朗に懸かる53年ぶり快挙の期待…独立L、育成へて開花した韋駄天
規定到達せずに盗塁王獲得なら1967年の東京オリオンズ・西田孝之以来
支配下登録を勝ち取ってからわずか3か月にして、その活躍はマリーンズファンの間でセンセーションを巻き起こしつつある。ロッテの和田康士朗外野手は、10日時点でパ・リーグトップとなる18盗塁をマーク。支配下登録1年目での盗塁王獲得の可能性も出てきている。
和田は埼玉・小川高校からルートインBCリーグの富山GRNサンダーバーズを経て、2018年に育成ドラフト1位で入団。1年目から2軍で94試合に出場したものの、打率.167、1本塁打、3打点と打撃面に課題。のちに最大の武器となる盗塁も、6つの成功に対して失敗は7つ。粗さが目立っていた。
転機は2年目。2軍で103試合に出場し、打率.264、6本塁打、20打点躍進。リーグ2位タイの23盗塁(8盗塁死)を記録し、走攻守での成長を見せた。迎えた3年目の今季。新型コロナウイルス感染拡大で開幕が延期となる中、6月に支配下契約を勝ち取り、代走要員として自身初の開幕1軍に滑り込んだ。
迎えたソフトバンクとの開幕戦。1点ビハインドの9回に代走で出場すると、甲斐拓也捕手を相手にプロ初の盗塁を成功。チャンスを広げ、土壇場の同点劇へとつなげた。
代走として出場することの多い和田は打席に入る機会は多くなく、10日時点で55打席。規定打席に到達することなく盗塁王のタイトルを獲得する状況になれば、パ・リーグでは1967年の東京オリオンズ・西田孝之以来53年ぶりとなる。
塁上での存在感は日ごと増す。8月19日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)では、一塁からエンドランでスタートを決めると、中前打で一気に三塁に進み、捕球する野手の動きを見てさらに三塁を蹴って本塁へ。単打で一塁から生還する驚きの走塁で注目を集めた。
規定打席未到達で盗塁王獲得という珍しい記録への期待に加え、近い将来のレギュラー奪取に向けても挑戦を続ける和田。ある時はファンを感嘆させ、またある時は見る者の度肝を抜くようなプレーを見せてくれる21歳の韋駄天が、ダイヤモンドを賑やかにする。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)