西武高橋光、2戦連続ノーノー逃す快投から何を学んだか 辻監督が求める高い期待

12試合先発のうち10試合が週アタマに先発、辻監督の期待は大きい

 というのは、高橋光はこの日を含め今季12試合に先発したうち、10試合が火曜日。雨天中止によってズレた2試合を除き、常に週のアタマに先発し、チームに勢いがつくかどうかの鍵を握ってきた。

 期待が大きいゆえに、辻監督は高橋光には徹底的に厳しい言葉を投げかけてきた。たとえば、今季初先発の6月23日・ソフトバンク戦では、6回途中3失点で勝利投手となったが、味方が4点を先制してくれた直後に2点を返され、5点リードの6回に四球絡みでピンチをつくり降板を命じられる不安定な内容。「全体的にはよく投げられたと思います」と満足気な高橋光自身と対照的に、辻監督は「納得いかない。彼の力からしたら満足できない」とおかんむりだったのだ。

 また、8月25日の日本ハム戦では、1回に1点、2回に2点を奪われ、いきなり3点ビハインド。3回以降は立ち直り、6回限りで降板するまでスコアボードに0を並べたが、結局味方打線の追い上げは1点届かず敗れた。この時も、高橋光自身は「3回以降は気持ちを切り替えて、なんとか粘ることができた。先発投手として、試合をつくるという最低限の仕事はできたと思います」と語ったのに対し、辻監督は「クオリティスタート(先発して6回以上投げ、自責点3以下)とか、そういう問題じゃない! 週のアタマに投げている以上、相手もいい投手が来るわけで、1、2回に3失点では、味方打線の攻め方が打つしかなくなり難しくなる。立ち上がりをもっと慎重にいかないと」と怒りをあらわにした。この直後、高橋光の投球内容はにわかに安定感を増し、2試合連続でノーノーを予感させる快投を演じたのだ。

 特に、8回までヒットを許さなかったオリックス戦では、いまや球界を代表する速球派右腕となった相手先発・山本との投げ合いを制した。試合前に辻監督からは「山本はすごいが、点を与えなければ負けることはないから」とゲキを飛ばされていたという。

 指揮官が求めるレベルの高さを理解し、さらにノーノーを予感させる快投によって、それに見合う潜在能力が自分にあることを自覚することができたのだとすれば、今季残り試合の高橋光はますます楽しみになる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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