重盗失敗に見えた西武の低迷脱出 辻監督は機動力野球に納得「ウチらしい」
重盗失敗後の5回2死二塁で栗山タイムリー「私を救っていただきました」
一昨年と昨年にパ・リーグ連覇を果たした西武は、いずれもチーム打率はリーグトップ、チーム防御率はワーストで、5点取られても6点取り返すような豪快な野球が身上だった。ところが今季は、チャンスメーカーの秋山がメジャーへ移籍し、主砲の山川は16日現在打率.225。昨季打率.329で首位打者を獲得した森も.256と振るわず、打線の破壊力は落ちている。となれば、足を使って1点をもぎ取る発想が重要になる。
もともと、機動力を駆使して相手の隙を突く野球は、西武の伝統的なお家芸。現役時代の辻監督はその象徴的な選手だった。この日はアウトになったとはいえ、こういう作戦を見せておくだけでも、今後相手を疑心暗鬼にさせ重圧をかける効果はありそうだ。
しかも、ダブルスチール失敗直後の2死二塁で、栗山が右前適時打を放ち、消えかけた得点機をモノにした。辻監督は「私を救っていただきましたし、チームも救ってもらった」と最敬礼だった。
依然、首位ソフトバンクには8.5ゲーム、今年のクライマックスシリーズ進出圏内の2位にも7ゲームの大差をつけられている西武。浮上のきっかけになるかどうか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)