TJ手術でプロ見送る東海大の最速153キロ右腕 「大切な仲間を手に入れた」

東海大・山崎伊織【写真:佐藤佑輔】
東海大・山崎伊織【写真:佐藤佑輔】

かつてドラフト1位候補にも挙げられながら、怪我で今秋ドラフトを見送った

 秋季首都大学野球リーグが開幕し、連日ドラフト候補たちにスカウトの熱い視線が注がれている。そんななか、かつてドラフト1位候補にも挙げられながら、今秋のプロ志望届提出を見送り、スタンドで仲間にエールを送る選手がいる。最速153キロ右腕の東海大・山崎伊織投手は、昨年春秋連続でリーグMVPに選ばれながら、関東選手権の最中に右肘を故障。今年3月にはトミー・ジョン手術を決断した。術後半年が経った今もノースローの日々を送る。

「しんどいですね。全然投げるイメージはできていない。可動域を広げるため、2日に1回はリハビリに通う毎日です」

 チームメートには最速155キロ右腕の小郷賢人投手、最速147キロ左腕の松山仁彦投手らドラフト候補が揃う。かつてはその中でもエースとして力投していただけに、もどかしさは人一倍。卒業後は社会人を経て2年後のプロ入りを目指すが、一足先にプロに進む同期には誰よりも強く活躍を願う。

「小郷は本当に努力家で、あれだけの才能があるのに誰よりも真摯に野球に取り組んだり、ストレッチにもメチャクチャ気を使ってる。自分が成長できたのも小郷の活躍に刺激を受けて、負けたくないと思ったから。松っちゃん(松山)はすごく視野が広くて、先発が無失点で抑えてるのに1人だけ不調を感じ取って肩を作ってる。2人ともプロで早く活躍して、待ってろって感じです」

 小郷も、松山も、かつて同じように怪我に悩んだ。4年間ではときにぶつかることもあったが、同じ痛みを知る戦友だと山崎は言う。

「1年のときにはケンカもしましたね。ちょっとしたことなんですが、1年生の役割分担で、腕が痛くて自分が加わらなかったら、『お前もやれよ』となって(笑)。もちろん、とっくに時間が解決して仲直りしてます。青春っぽいですよね、自分も周りも幼かったなって。今は『痛いよな』『頑張ろうぜ』ってお互い慰め合ったり。4年間で大切な仲間を手に入れました」

 濃密な4年間が生んだ、東海大投手陣の絆。一足先にプロに飛び込む同期を刺激に、社会人の舞台でその牙を研ぐ。

(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)

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