ロッテに敗れて首位陥落危機… ソフトバンクの“奇策”高谷スタメンに感じた疑問

好投を続けていたムーアと甲斐のバッテリーの“解体”は得策だったのか?

 プロといえど、初めてバッテリーを組むことは簡単ではないはずだ。投手と捕手は登板ごとに反省とコミュニケーションを重ね、信頼を深めていくものだ。それぞれとコンビを組んだことがある日本人投手であれば、この策は分かる。ただ、ムーアはよりそういった面で難しさがある外国人投手。ここまでコミュニケーションを重ねて、相互理解を深めていた2人をあえてこの重要な一戦で“解体”し、バッテリーを組んだ経験のない2人を組ませることが得策だったのだろうか。

 今季、ここまでソフトバンクは12球団トップの防御率3.16を誇っている。投手力を武器に勝ちを積み重ねてきたが、この投手陣を支えてきたのが、他ならぬ甲斐である。リード面で賛否はあるが、捕手とは打たれれば槍玉にあげられるポジションだ。ここまでのこの12球団トップの「3.16」と言う数字が、甲斐の貢献度を物語っている。

 24日のオリックス戦後、工藤公康監督は報道陣に対して「今まで、通り勝ち越すことを考えてやっていきたい。投打のバランスを考えながら、保っていくということが1番勝利に近づくと思っている」と語っていた。この言葉から、これまで通りの戦いを変わらず続けていくと言う意図が感じられた。

 だが、いざ蓋を開けてみれば甲斐に代えて高谷を起用し、ムーアとバッテリーを組ませるという、ここまでやったことのない“戦い方”を選択した。思い切った策だったが、ソフトバンクが自分たちの戦い方を崩したようにも見えた。 

 去年から大きく負け越しているロッテを“意識するな”と言っても無理なのだろうか。この日の戦いを見ると、誰よりも工藤監督自身がロッテを意識しているのではないだろうか。この難しいシーズン、ここまでパ・リーグの首位を走ってきたソフトバンクには力はある。だからこそ、ロッテを意識して“己の戦い”を変えるのではなく、選手を信じ“己の戦い”を貫いて戦えばいいのではないだろうか。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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