日本でトミー・ジョン手術にかかる費用は高い?安い? 肘の権威が明かすお値段は…

故障の原因となる育成年代での経歴「8割くらいはそう」

「プロや社会人で故障する選手の8割くらいは、子どもの頃に故障歴がありますね。小学校・中学校・高校とずっと痛くなかったけど、大学で初めて痛みを感じた、という人もいます。ただ、人によって痛みの感覚が強い人と弱い人がいます。骨が靱帯と一緒に剥がれてしまっても痛くなったことはないと言う人もいますし、剥がれていないけど痛いと言う人もいます。実際、骨が剥がれて靱帯もボロボロなのに投げられている人はいるんですよ。それぞれが感じる痛みはアテにならない部分はありますよね。

 ただ、投げられないとなれば、何かしないといけない。そこで病院で治療をするわけですが、『こういう人は手術する』『こういう人はしなくていい』という線引きはクリアにはなりません。だから、『保存治療がいい』『手術がいい』という議論がいつまで経っても終わらないんですね」

 古島医師は、肘の手術の「線引き」の“難しさ”についてこう明かす。気がついた時点で、選手生命に影響を及ぼすような重症となっているリスクもあるだけに、まずは故障を防ぐために育成年代での酷使を避けることが重要となってくる。

 阪神でエースとして活躍し、その後、メジャーリーグのマウンドにも立つなど日米通算379試合(先発245試合)に登板した藪氏も、父親の方針で中学校の途中までは主に二塁手としてプレーした。

「僕が小学生の時、うちの父親が監督と喧嘩したんですよ。『うちの子にはピッチャーをやらせない』って。そもそも、僕は打たれるとすぐに腹が立つ性格だったんで、ピッチャー向きではないと自分でも思っていました。それに当時は小柄だったんです。身長も中学1年生で153センチくらいで細かった。だから、父親は『まだ早い。体ができていないから投手はさせない』って、投手にさせたがった監督に反対したんです」

「結局、僕が投手を始めたのは中学2年生の秋。野球部の顧問の先生が父親に『そろそろいいか?』と聞いたら、『もう大丈夫だろう』なんてやりとりをしていました。そのくらい父親が守ってくれたおかげで、怪我のリスクはかなり軽減されたと思います」

 この父親の考えがあったからこそ、藪氏は長くプロ生活を続けられたとも言える。古島医師は、育成年代の選手の故障を防ぐためにこれまでも各地で啓蒙活動を行ってきたが、10月10日から全6回のコースで行うオンラインサロン「開講! 古島アカデミー」第1期をスタート。小中学生の指導者・保護者を対象に、子どもたちを怪我から守るための基礎知識を分かりやすくレクチャーする予定となっている。費用面で見ても、トミー・ジョン手術の“ハードル”は実は決して高くないとはいえ、やはり故障をしないのが大切であることは間違いない。

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「Full-Count」では、10月10日(土)19時より全6回のコースで行うオンラインサロン「開講! 古島アカデミー」第1期(全6回)をスタートさせます。古島医師を講師にお招きし、野球に励む小中学生の指導者・保護者の皆さんに、子どもたちを怪我から守るための基礎知識を分かりやすくレクチャー。イベント詳細は下記URLをご覧下さい。

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(Full-Count編集部)

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