元ロッテ“サブマリン”の助言で変身…ドラフト候補155キロ右腕の伸びしろ
かずさマジックの山本晃希、10球団のスカウトが見守る中5回6奪三振
今秋のドラフト候補・日本製鉄かずさマジックの山本晃希投手が2日、都市対抗南関東2次予選・第1代表決定トーナメント初戦(県営大宮)に先発した。10球団のスカウトが視察する中、オールフロンティアに対して制球に苦しみ、5回途中2安打6四球で1失点。試合は3回に4番・土門の中越え適時二塁打で奪った2点を守り切って勝利した。
最速155キロを誇る右腕も、この日は143キロどまり。それでも、6三振を奪取。球速を抑えながら相手をねじ伏せることができた要因は、昨秋から取り組んできた2段モーションにあるという。
「スピードは出ていたけど、ファウルにされたり打たれたりしたのが目立った」という課題を抱えていた山本。そんな時、2段モーションの導入を勧められた。助言を送ったのは、下手投げの“サブマリン”と呼ばれ、WBCで世界一に輝いた経験を持つ元ロッテの渡辺俊介新監督。その効果はてきめんだった。
「2段(モーション)にして、軸を1回決めることができるのでブレなくなった。ボールの緩急じゃなくて、フォームで緩急をつける。フォームで(タイミングを)ずらす」とうなずく山本。「リリースだけに集中して、スピンを効かせるイメージで」と投げた結果、140キロ台中盤でも打者の空振りを奪えるまで直球を磨き上げることができた。
百戦錬磨の経験を持つ新指揮官の存在は、山本にとってこの上なく頼もしい。「よく見ているし、適切な指示をくれる。引き出しもすごい。みんなが(質問を)聞くんですけど、答えられないことがない。『いけるかも』という回答が返ってくる。頼りになります」と揺るぎない。
155キロというインパクトある数字よりも、“打たれないこと”を選択した山本。この日は5回途中で降板となったが、渡辺監督は「よくないなりに粘ってくれた。次のピッチングに期待しています」と右腕に期待。世界一を知る監督の元で、その投球術に磨きをかけ続ける。
(安藤かなみ / Kanami Ando)