「ドラ1が完封なしじゃカッコ悪いだろ」早大・早川、13K完封の裏に小宮山監督のゲキ
監督から言われた言葉「1位指名の選手が完封したことないのはカッコ悪いだろう」
112球の完封劇を手放しで称えたのが、元ロッテの小宮山悟監督だった。第一声で「今日“も”素晴らしかった」と強調。援護がない展開で力投した姿に「ダグアウトからも辛抱強くて、大したものだなと思って見ていました。僕だったら間違いなく裏で暴れてますよ」と笑った。
初戦の9月19日の明大戦は9回2死から1点を失い、逃した完封。今週に向け、指揮官は伝えた。「法政戦は大事な試合。土日投げるぞ」と。1回戦は点を取られなければ最後まで代えない、リードした状態で点を取られたら2回戦に備えて降板させる方針だった。
その裏に“親心”があった。
「ご承知の通り、彼はドラフト1位で指名されますから。『1位指名の選手がリーグ戦で完封したことないのはカッコ悪いだろう』と。火曜の練習の時に伝えました。今日は0-0の展開で行ってくれたから(最後まで)切れずに行ってくれたかな」
その言葉を「その通りだと思った」と受け止め、約束通りの完封劇を演じた早川。「『10番』という重みが自分にそういうピッチングをさせてくれていると思う」と殊勝に言い、こうも語った。
「嬉しいのは嬉しいです。でも、優勝しか見ていないので。今日のことはもう忘れて明日に向けて準備していきたい」。伝統ある早稲田の背番号10を背負い、エースも務める男の視界に映っているのは、大学生活集大成となる天皇杯だけだ。
(神原英彰 / Hideaki Kanbara)