勝利よりも成長、機会、結果で1軍へ 元ハム田中幸雄氏が語る2軍監督の役目とは?

浅間大基は「1軍レギュラー候補」の実力者

 話題は投手陣へ。日本ハムのファームには、昨季のドラフト1位右腕・吉田輝星投手を筆頭に、社会人で実績のある生田目翼投手など期待の投手が並ぶ。そんな中で、田中さんが指摘したのは「コントロールの重要性」だ。

「生田目はスピードがあるのが魅力です。ただやはり、打者と1対1で対戦するとなると、制球力が重要ですね。1軍の打者になると、甘いところに投げたら速い球でも打たれる。打者との駆け引きだったり、配球だったり、失投を少なくして良いボールを良いところに投げられる、そうした能力を上げていくしかない」

 1軍の第一線で活躍する投手は四球が少ない。実際、エースである有原航平投手が昨季与えた四球は164.1回で40個。9イニングでわずか2つという計算になる。今後、ファームから昇格する投手の成績を見る際には、与四球にも注目していく必要があるだろう。

「コントロールは投手全員に重要と言えます。やはり、良いコースに投げられる確率を上げていく、甘いボールを少なくする。もちろんカウントによって打者を見て、打ち気などからも判断する、そういった技を身につけたほうが良いと思います」

 もちろん、全てのボールを狙ったコースに制球できる投手はいない。打者との駆け引きとなるとサインを出す捕手も関係してくる。ただ、田中さんの指摘する通り、実際に打者と勝負するのは投手だ。変化球や球速だけでなく、相手打者を含めたさまざまな状況判断能力が求められる。

 ファームは若手だけではなく1軍の主力選手が調整を行う場でもある。話題に上がったのは王柏融選手と、浅間大基選手の2人だ。王選手はファームでの出場試合数は少なかったものの、取材時点で打率は7割超と圧倒的な成績を残していた。ただ、1軍の成績とファームの成績は分けて考えることも大切だという。

「一流投手と比べると、ファームの投手の方が球速、コントロールなどは劣ります。王選手は能力が高い選手ですから、こうした投手に対してなら当然打つでしょう。ただ、今の状態であれば十分1軍でも戦力になると思いますね」

1軍に選手を送り出す。「ファーム監督」の役割

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