阪神・秋山が持つ「天性」の武器 沢村賞右腕が語る「タイミングが取りづらい」理由とは?

長いキャリアに必要なマイナーチェンジ「今の秋山投手にベストなスタイル」

「僕もタイミングをずらして投げる練習をしましたが、なかなか簡単にできるものじゃない。これは生まれ持った天性のものですね。意識して腕の振りを遅らせようとすると、自分ではかなりタイミングをずらしたつもりでも、打者にはまったく変わっていないように見えるものです」

 こうやって打者のタイミングをずらしながら、決して速くないスピードの球で抑えていく。まさに老獪なピッチングの手本だが、そこに「丁寧さ」が加わり、より大きな効果を呼んでいるという。

「1球1球を大事に投げていますね。ボールが高めに浮くことは滅多にないし、ストライクゾーンを大きく外れることもない。かと言って、ピンポイントの制球でバシバシ決めてくるタイプでもなく、キャッチャーがミットを構えた位置を中心に、だいたいのところに投げながらアウトに仕留めるタイプですよね」

 秋山が高卒ルーキーだった2010年。そのピッチングを見た川崎氏は「面白いタイプのいいピッチャーだな」と思ったことを覚えているという。その年は7試合に先発して4勝3敗、防御率3.35の成績を残したが、その後はなかなか1軍に定着せず。2017年に初の2桁となる12勝(6敗)を挙げるまで試行錯誤を重ねた。

 今年でプロ11年目だが、まだ29歳。選手寿命が伸びている今、少しでも長いキャリアを送るには「投球スタイルのマイナーチェンジが必要」だという。秋山もプロ入り後、自分のスタイルに改良を重ねてきたわけだが、「今の秋山投手にとってベストなピッチングスタイルがこの形なんでしょうね」と川崎氏。それを踏まえ、「これから数年後、どういうスタイルに変化していくのか。それが楽しみでもありますね」と期待を寄せる。

 昨年は1軍と2軍を行き来しながら、ファームで10勝を挙げて最多勝投手となった秋山。天性の投球フォームを武器に、先発ローテに欠かせない存在としてアピールを続けたい。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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