「好きじゃないとできない」 川端友紀、女子野球の未来を繋ぐために下した決断

コーチと選手を兼任する今「前よりもできることが増えた気がします」

 次はどんな道に進もうか、悩んで悩んで考えた。いろいろな選択肢はあったが、それでもやっぱり野球からは離れられない。指導者の道を歩もうと思った時、現在所属するエイジェックから声が掛かった。

「エイジェックからお話をいただいたて、実際に練習を見に来た時、『やっぱり私もプレーしたい』っていう気持ちが沸いてきた。選手をやりながらでも指導者の勉強はできるんじゃないかと思って相談したところ、『選手をやりながらでも問題ないですよ』というお話をいただけたので、お世話になることにしました」

 引退から現役復帰までわずか3か月ほどの期間ではあったが、経験のない濃密な時間を過ごし、実際の時間の何倍、何十倍もの長さに感じたことだろう。心身ともにリセットして加わったエイジェックでは「体のケアに時間を割いたり、気持ちの面でも伸び伸び過ごさせてもらったり、自分が思っていた以上に『あ、まだできるんだ』っていうところが、どんどん見えるようになってきた。前よりもできることが増えた気がします」と笑顔を浮かべる。

 コーチという肩書きが加わり、自分と野球との距離感にも変化が生まれた。自分のコンディション管理に全力を注いだ選手一本の時よりも、一歩下がった位置から全体を見渡す視野を身につけた。

「技術的な指導は監督やヘッドコーチにお任せして、私は普段の生活で気が付いたことにアドバイスをしたり、落ち込んでいる時に1つ声を掛けられたり、そういうサポートができればと思います。例えば、夏バテで食欲をなくした選手がいたら『こうに工夫してみたらどう?』とアドバイスを送る。どうしても監督やコーチの目が行き届かない部分はあるので、選手兼任だからこそ、選手により近い立場や目線から声を掛けられる存在でありたいですね」

社会人チームで増した想い「憧れてくれる子どもたちに何かできないか」

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