スタンドもどよめく采配 中村に打率.086の岡田を代打に送った西武・辻監督の執念

6回に中村の代打として起用された岡田は今季の犠打数が安打数を上回る

 岡田はバントの名手、この場面では“ピンチバンター”だったのである。初球は150キロの剛速球が顔付近を襲い、のけぞって避けたが、2球目の148キロに臆せず一塁方向へ転がし、走者を二、三塁へ進めたのだった。日頃「打率がなくなってしまいそう」と自虐的なジョークを飛ばしている岡田は、今季の犠打数(4)が安打数(3)を上回った。

 結局、この回は2死満塁まで攻め立てながら、無得点に終わったが、千賀にはそれ以上続投の余力はなかった。辻監督の1点への執念が伝わる采配だった。

 一方、守っては1点リードの7回、1死一、二塁のピンチで栗原を迎えると、2安打無失点の先発・高橋光から平良に思い切りよくスイッチ。平良は154キロの速球で二ゴロ併殺に仕留め、功を奏した。辻監督は「あれで打たれていたら、何を言われたか……ヒヤヒヤだった」と明かしながらも「継投は基本的に(西口)投手コーチに任せている。ブルペンと連絡を取りながらやってくれている」と部下を称賛した。

 昨年までは“山賊打線”が打ちまくり、リーグ連覇を達成した西武だが、リードオフマンの秋山がメジャーへ流出した今季は鳴りを潜め、今のところ4位に甘んじている。守りを固め、1点をしつこく取りにいく野球に活路を見出すか。

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