西武スパンジェンバーグが見せる適応能力 MLBプロスペクトが日本で開花の予感

内外野の6ポジションを守れることに加えて、MLBでは意外な経歴も

 また、95試合の出場で8盗塁を記録している俊足や、状況に応じて外野の両翼と三塁をこなすユーティリティ性といった、米球界在籍時代からスパンジェンバーグの長所とされていた要素は、日本球界においても確実に発揮されている。金子侑司外野手や中村剛也内野手といった主力の故障離脱を経験している今季のチームにとっても、スパンジェンバーグの汎用性の高さは大きな助けとなっている。

 スパンジェンバーグはNPBで守備経験のあるサード、レフト、ライトの他にも、MLB時代にはセカンドで164試合、ショートで5試合、センターで1試合の守備に就いた経験を持つ。ライオンズの二遊間は外崎修汰内野手と源田壮亮内野手という2名の実力者がほぼ不動の存在となっているが、一定以上の打撃力を持ちながら高い汎用性も併せ持つスパンジェンバーグの存在は、不測の事態に備える意味でも価値あるものとなるかもしれない。

 ちなみに、今季は本来野手である巨人の増田大輝内野手が、投手としてマウンドに上がったシーンが各所で話題を呼んだが、スパンジェンバーグもパドレス時代の2018年に、投手として2試合に登板した経験を持つ。大差のついた試合では野手が登板する機会が少なからず存在するMLBならではの起用ではあるが、これもまた、スパンジェンバーグの汎用性の高さを示すエピソードの一つでもあるだろう。

 今回は、いかにも助っ人らしい豪快な一発と、良い意味で助っ人野手のイメージを覆す守備面での器用さや、攻守にわたって活きるスピードを併せ持ったスパンジェンバーグについて、米球界時代の経歴や実績、今季の打撃内容から見える強みといった要素を紹介。所沢に新風を吹き込んでいる「スパンジー」についてより深く掘り下げていくとともに、米国のプロスペクト文化の一端についても触れていきたい。

100試合以上に出場したシーズンは3度あったが、主力には定着できず

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