天敵・西勇輝を5失点KO 専門家が指摘する巨人の強さの秘訣「チームが同じ方向を」
「嫌がる選手もいました」過去にスコアラーの指示が通らないことも
一方、坂本は5回無死一、三塁で、カウント1-0から内角低めに食い込む西勇得意のシュートを左前にはじき返し、貴重な4点目をゲットした。三井氏は「坂本はシュート狙い。この日は指1本分か2本分バットを短く持ち、操作をしやすくして、見事にシュートに対応しました」と指摘する。
また、遊ゴロ、一飛、四球に終わった4番の岡本についても「シュートを狙っていることは伝わってきましたが、難しいコースに手を出してしまい、捉えきれませんでした」と指摘した。
「丸、坂本のような主力がああいう姿勢を見せてくれると、他の選手もそれに倣って工夫をする。チーム全体が同じ方向を向いて相手を攻略するところに、今季の巨人の強みがある」と三井氏。「こういうチームは、データを提供し対策を提案するスコアラーとしてはありがたいですし、監督にとっても選手を動かしやすいと思う」と語った。
実は、全てのチームが相手投手対策を徹底できるとは限らない。たとえば、2003年から11年まで阪神に在籍した下柳剛氏のフォークを、巨人打線が全く打てない時期があった。当時スコアラーを務めた三井氏は「バッターボックスの投手寄りに立って、落ち際をたたくことを提案しました。しかし、打者は立つ位置を変えると、ボールの見え方が変わってしまう。当時は長距離打者がズラリと並ぶ打線だったこともあって、嫌がる選手もいました」と振り返る。
チームが一丸となり、粘り強く相手を攻略していく姿勢が、結果的に今季の巨人の独走を招いていると言えそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)