各球団は高校トップ級評価 清原や鈴木誠を彷彿…中京・元謙太の秘めたる魅力とは

高校通算18本塁打中10本を公式戦で放った勝負強さ 緊張とは無縁の前向きな性格

 そして今年、コロナ禍で寮が閉鎖になり、約2か月間グラウンドに立つことはできない時期もあった。だが元は、主将として後ろ向きになることはなかった。仲間とメールで連絡を取り合い、自分でやれるトレーニングを行い、練習再開に備えた。そして、最後の夏となった県独自大会はエース、そして遊撃手としてチームを引っ張り、準優勝。決勝では延長戦の末、大垣日大に5-6で敗れたが、大会で16打数10安打、3本塁打、6打点を結果を残し「悔いはない。完全燃焼です」と、笑顔でユニホームを脱いだ。

 高校通算本塁打は18本。うち10本が公式戦で、勝負強い打撃が魅力だ。投手としても、最速144キロの直球を投げる。アトランタ五輪で銀メダルを獲得し、NTT東海では、後に中日の守護神となる岩瀬仁紀にスライダーを伝授したことでも知られる中京の森昌彦コーチは「(豊川、中京で)計13年間高校野球に携わってきたが、これまで見た選手の中では、投手としても一番の素材」と評価するが、元はプロでは投手ではなく野手に専念し、遊撃手としてスタートするつもりだという。

「中京を選んだのは森コーチの存在も大きくて、自分は投手もやりたかったのでここを選んだんです。でも、2年生になって、投手か野手か、どちらかに絞らないとプロの世界では活躍できない、プロに行って絶対に両立はできないと思った。チーム事情で投手もしていましたが、打のほうで注目されることが多かったので、3年生になってからは野手でプロに行こうと思うようになりました。まだ経験は浅いですが、遊撃が守れればどこのポジションにも挑戦できるので、遊撃からスタートしたいです」

 性格は常に前向き。球場にスカウトが大勢訪れても、緊張とは無縁だ。「これだけ来てくれているから、打てば注目される。弱気にならず、1発打って自分のプレーを見せればいいと思っていた」という強心臓。元は「県内でもトップレベルの練習をしてきているし、これだけやったから打てるでしょ、という感覚。監督もマイナス思考はいらないといつもおっしゃっているので、マイナスに考えたことはないです」と明かす。

周囲からは秋山幸二、高校時代の清原和博、鈴木誠也に似ていると言われる打撃フォーム

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