人気球団の“洗礼”に「耐えれるかどうか…」 阪神ドラ1近大・佐藤に恩師が助言

近大・田中監督「浮かれなければいいなと思う」

 それでも、本人は「2年生の時に出場した、大学日本代表対高校日本代表の試合も、神宮が満員になったと記憶しているので」と、どこ吹く風。確かに2018年8月28日、神宮で行われた侍ジャパン壮行試合に大学日本代表の「5番・DH」でスタメン出場している。観客は2万5018人で、佐藤は2打席連続三振に終わったが、「その時も自分を失わず、集中できたので、満員の甲子園はまた雰囲気が違うかもしれませんが、まあ、大丈夫だと思います」と言い切った。恩師の近大・田中秀昌監督が「とにかくマイペース」と評する佐藤は、本当に肝が据わっている。

 もっとも、阪神の場合、多いのは観客だけではない。田中監督は「人気球団だから、ちょっと調子が悪くなると、マスコミに騒がれるでしょう。そういうことに耐えられるかどうか」と心配が尽きない。阪神の選手ともなれば、写真週刊誌などにマークされることも多く、「佐藤には『行動に気を付けろ。いつもカメラがついて来ていると思いなさい』と言い聞かせています」と明かした。

 さらに田中監督は「タニマチや若い女性ファンも多いと聞く。浮かれなければいいなと思う」とも。ちなみに佐藤のような、その年の目玉のドラフト1位は、契約金1億円プラス出来高払い5000万円、1年目の年俸は1600万円が相場だが、恩師は「プロは契約金と同額の年俸をもらえるようになって、初めて一人前だ。そうでなければ、スカウトの方をはじめ、お世話になった人たちに恩返しできない」と自覚を促しているという。

「多少窮屈に思うかもしれないが、佐藤本人が『子供に夢を与えたい』と言っている以上、野球人としてのみならず、社会人として常識的な立ち居振舞いを心がけてほしい」と田中監督。阪神でスターになるには、技術を磨くことはもちろん、プラスアルファも重要になる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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