悩み、批判され、涙した…初の“優勝捕手”になった鷹・甲斐の胸中「なにくそ、と」

ソフトバンクの優勝が決まり森唯斗を担ぎ上げる甲斐拓也(左)【写真:藤浦一都】
ソフトバンクの優勝が決まり森唯斗を担ぎ上げる甲斐拓也(左)【写真:藤浦一都】

チーム防御率は驚異の2点台をマークも「負ければ言われる」

 開幕直後、6月30日から札幌ドームで行われた日本ハムとの6連戦。3戦目でサヨナラ負けを喫すると、そこから3試合連続でスタメンから外された。ホテルの自室で悔し涙を流した。「本当に自分って弱いなと思いました」。必死に苦悩と向き合った。

 結果的には投手陣はチーム防御率は2点台を叩き出した。四球が多かったことは確かだが、それでもこの数字は驚異的なものだ。それでも、甲斐を批判する声は嫌でも耳に入ってきた。中には球団が注意喚起するほど過剰なものもあった。

 甲斐自身「僕って嫌われてるんですね……」と思い悩んだりもした。そんな時の支えは励ましてくれる仲間であり、先輩であり、声をかけてくれるOBたち、そして「勝利」だった。12連勝という驚異のラストスパートを見せた10月の月間防御率1点台。批判の矛先だったリード面でも成長を感じさせた。

「ピッチャーが頑張ってくれてそういう結果になっていますし、投手の力がないとこの結果はないと思っています。どうしても、防御率1位でも負ければ言われますし、そこはしっかりと自分の中で受け止めてじゃないですけど、正直『なにくそ』という気持ちでやってきました」。批判を受け止め、優勝という形で結果で示した。

「優勝することが1番ですし、そのためにチームみんな頑張ってきてますし、たくさん色んな思いもしてきましたけど、最後こうやって勝って良かったな、と思います」。喜びとともにこみ上げてきたのは安堵の気持ち。1年間の苦労と苦悩が、3年ぶりのリーグ優勝で少しだけ報われた。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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