“豆苗”から“主菜”に成り上がったDeNA大貫 指揮官を唸らせ10勝の転機となった一戦
ラミレス監督はバッテリーを組む戸柱とのコンビネーションを評価
指揮官はまた、コンビを組む捕手の存在の大きさも口にした。事実、今季初勝利は伊藤光とのバッテリーだったが、以後の試合では全て戸柱がマスクをかぶっている。「戸柱とのコンビネーションが機能すると思った。そういう意味では、彼の功績でもあると思う」とラミレス監督が言うように、昨季は1試合のみだった“恋女房”の存在が飛躍の要因となった。
今季初勝利から登板5試合で5連勝を記録した大貫は、9月5日の敵地の広島戦ではプロ初完投勝利もマークした。平良や今永など、シーズン前半に先発ローテの中心だった主力投手の故障離脱が相次ぐ中、9月終盤からここまで5試合で4勝1敗と抜群の安定感で2ケタ勝利に到達した。
プロ2年目の進化の要因として、技術面では新球であるカットボールの力が大きい。昨オフに派遣されたオーストラリアのウインターリーグで、左打者対策として取り組み、現在では欠かせない球種となった。大貫は「昨年よりも投球の幅が広がった。苦しい場面でカウントを取れる球にもなっているし、配球の引き出しが増えた」と、その効果を実感している。
181センチの長身だが、73キロという細身の体から、いつしか「豆苗」というあだ名が付いた大貫。スタンドのファンが掲げる応援ボードにも「ハマの豆苗」と書かれるなど、活躍に比例して、その名前も浸透し始めている。10勝目をマークした試合後、お立ち台で前日の勝負メシを聞かれた大貫は「豆苗と言いたいところですが、普通のご飯です。豆苗は今、育てています」と笑いを取り、「ニックネームが付くのは嬉しいこと。どんどん呼んでほしい」と笑顔を見せた。
メインのおかずにはならないが、栄養価の高い食品として知られている豆苗。指揮官の見立てをいい意味で裏切った伏兵が、先発投手陣の主役に躍り出た。
(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)