鷹・周東をどう止める… 走らせないための近道は“出塁させないこと”!?
「世界の盗塁王」福本氏を止めるために堀内恒夫氏はあの手この手で対策
ちなみに、巨人のV9時代のエースである堀内恒夫氏は自身のブログで、1971年の阪急(現オリックス)との日本シリーズを前に、その年67盗塁をマークしていた福本豊氏対策を、バッテリーぐるみで練った経験を記している。
当時の正捕手である森昌彦氏(のちに祇晶に改名)は、スローイングで球を二塁ベースに当てる練習を繰り返したという。福本氏を刺すには、タッチをしている暇はなく、送球を捕った二塁手のグラブの位置に福本氏の足が入ってくるイメージでないと、間に合わないからだ。
堀内氏も、福本氏が一塁に出ると、しつこく牽制球を放った。しかも2秒、3秒、5秒、0.5秒というように、ボールを持つ時間を変え、重圧をかけた。こうして第1戦の9回、大事な場面で福本氏の二盗を阻止し、シリーズ自体を優位に進めることができたという。このレベルの努力と工夫がなければ、周東を止めることも難しいのかもしれない。
もっとも、盗塁を阻止しようとするより、そもそも出塁させないようにする方が近道だ、とも考えられる。前出の福本氏は、日本記録のシーズン106盗塁を樹立した1972年、打っても打率.301、出塁率.384と手がつけられなかった。周東も成長著しいとはいえ、打率.268、出塁率.323(30日現在)と、まだ当時の福本氏に比べれば、率は高くない。
果たしてどこまで記録を伸ばし、誰がどうやってこの記録を止めるのか? ソフトバンクの優勝は決まったが、盗塁を狙う周東と、そうはさせまいとする相手バッテリーとの駆け引きに注目しても面白い。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)