ダイエー最後の捕手・オリ山崎勝己が現役引退 プロ20年「幸せな野球人生だった」

前歯を3本折りながらもプレーを続行「もう2軍には戻りたくなかった」

 転機となった試合は2006年5月9日の広島戦。栗原のファウルチップがマスク越しで顔面に直撃し前歯を3本折りながらもベンチ裏で治療を終えるとプレーを続行。「もう2軍には戻りたくなかった」と、ようやく掴んだ1軍の舞台を逃すまいと必死だった。

 オリックスに移籍したことで昔からの夢も叶った。小学時代にバッテリーを組んだ中島宏之内野手(現巨人)が14年オフに日本球界に復帰。複数の球団からオファーが届いていたが「また一緒にやろう」と、オリックス入りを勧め20年ぶりに同じユニホームでプレーすることになった。

“親友”より一足早く現役を引退することになったが「ヒロ(中島)より先に脱ぐことになるのは予定外ですが(笑)。残り少ない現役生活を頑張ってほしい、いつかまた一緒に野球をやりたい」。

 一番の思い出はホークス時代の2010年9月20日対西武戦。1点リードの9回2死一、三塁の場面で守護神・馬原をリードし打席には中島。12球粘られたが最後はフォークで空振り三振に仕留め痺れる試合を制した。

「あの試合は今でも鮮明に覚えている。馬原さんも力勝負で行きたいと。受けていて楽しかったし、結局3人がオリックスで一緒にやることになった。嬉しかったし何か縁を感じましたね」

 高卒でプロ入りし20年間プレーできたことに「まさかここまで出来るとは思ってなかった。苦しく辛いこともあったが幸せな野球人生だった。ここまで成長させてくれたコーチ、監督、野球界の全ての方に感謝したい。そして生み育ててくれた両親と家族にありがとうと伝えたい」と感謝を口にする。

 本拠地最終戦となる6日の日本ハム戦で引退試合、会見を行う予定。プロ20年目、38歳のベテランがユニホームに別れを告げる。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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