月間22勝を呼んだ柳田の貢献、鷹勢を上回る楽天右腕も光る…セイバー指標で見るパ月間MVPは?

楽天・岸孝之【写真:荒川祐史】
楽天・岸孝之【写真:荒川祐史】

東浜と石川が4勝などソフトバンク勢が光る中で、好指標を叩き出した楽天の岸

 続いて投手部門です。投手評価には、平均的な投手に比べてどれだけの失点を防いだかを示す指標RSAAを用います。ここでのRSAAはFIPベースで算出します。各チームのRSAA上位3名は以下の通りです。

・西武 高橋光成3.04 平井克典2.89 ギャレット0.73
・ソフトバンク 千賀滉大5.25 東浜巨4.97 ムーア2.16
・楽天 岸孝之7.24 瀧中瞭太2.98 塩見貴洋2.26
・ロッテ 二木康太2.79 フローレス2.49 東條大樹1.18
・日本ハム バーヘイゲン7.13 有原航平2.37 宮西尚生2.00
・オリックス 山本由伸5.59 張奕3.26 山岡泰輔2.25

 今月はソフトバンクが月間22勝をあげたこともあり、東浜巨と石川柊太が4勝、和田毅、ムーア、千賀滉大が3勝と月間勝利数の上位を占めています。そんな中で楽天の岸孝之が月間4勝とリーグ1位タイとなりました。月間防御率で比較すると、東浜巨が0.48、岸孝之が1.23、石川柊太が2.59と開きがあり、公式の月間MVPでは東浜が有利になりそうです。

 ですが、被本塁打や与四死球、奪三振で評価するFIPや他のセイバーメトリクスの指標においては、

・岸孝之
36回2/3 被本塁打1 与四死球7 奪三振39
K/BB 5.57 FIP1.92 WHIP0.65

・東浜巨
37回2/3 被本塁打1 与四死球10 奪三振33 
K/BB 3.67 FIP2.51 WHIP0.64

・石川柊太
31回1/3 被本塁打2 与四死球16 奪三振24 
K/BB 2.67 FIP3.95 WHIP1.02

となり、岸がやや優勢と言えるでしょう。よって10月のセイバーメトリクス指標による投手部門のMVPは岸孝之とします。

岸孝之(楽天)RSAA7.24
36回2/3 QS率100%
防御率1.23 被打率.138 奪三振39 奪三振率 9.57
被本塁打1 WHIP0.65 K/BB 5.57 FIP1.92

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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