「道具も体の一部」 巨人坂本の通算2000本安打を支えた球界屈指の“感度”とは

スパイクだけじゃなく革手袋へのこだわり「手の甲の部分に一切のストレスをかけたくない選手」

「アディダスのスパイクは手作りなんですけど、ちょっとの違いも分かるようです。ものすごく細かいところも気づきます。本当に体のことに気を使っているし、我々としても、坂本選手の要望に対応してパフォーマンスを上げられるものを作らないといけない。今では周りの選手も球場ごとに履き替えるようになりましたけど、坂本選手ぐらい敏感でスパイクに気をつける選手は中々いないと思います」

 今季モデルは「いい成績を残すことができた。変える必要はない」との理由で変更はなかったが、例年オフにはデザインも機能性もモデルチェンジする。坂本との意見交換の場は年を追うごとに張り詰めた空気になるという。

「若い時は結論だけを伝えてくることもありましたが、今は『これがこうだから、こうしてほしい』というように理論立てて話してくれます。リアルな声を商品開発にも反映できています。新しい技術にもしっかり理解を示してくれます。その場はお互いプロ同士。毎回毎回、気が引き締まる思いです」

 革手袋へのこだわりも強い。「坂本選手は手の甲の部分に一切のストレスをかけたくない選手です。拳部分には特殊な素材を使って、なるべく手の形のまま合わせて作っています。手のひら部分には薄いシープ素材を使っていて、ゴルフの革手袋に近いものを使っています。『道具も体の一部。素手の感覚を大事にしたい』と言っています」と鈴木さんは明かす。道具への気配りと強いこだわりも、坂本の2000本安打には欠かせない要素の一つのようだ。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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